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垂らす
「垂らす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
垂らすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
スターゼを飲む。飲んだ後で書物をひろげる。二三ページ読むと眠くなる。涎を本の上へ
垂らす。これが彼の毎夜繰り返す日課である。吾輩は猫ながら時々考える事がある。教師....
「蠅」より 著者:海野十三
親蠅の咽喉を締めつけた。蠅は大きな眼玉をグルグルさせ、口吻からベトベトした粘液を
垂らすと、遂にあえなくも、呼吸が絶えはてた。そしてゴロリと上向きになると、ビクビ....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
珠子釣りをやっている。洲の中の環虫類を糸にたくさん貫いて、数珠輪のようにして水に
垂らす。蘆の根方に住んでいる小|鰻がそれに取りつく、環をそっと引き上げて、未練に....
「浚渫船」より 著者:葉山嘉樹
た。 だものだから、ついうっかり、奴さんの云う事を飲み込もうとした。 涎でも
垂らすように、私の眼は涙を催しかけた。 「馬鹿野郎!」 私は、力一杯怒鳴った。....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
たろう。坊主は開いた目も閉じて、※とした顔色で、しっきりもなしに、だらだらと涎を
垂らす。「ああ、手がだるい、まだ?」「いま一息。」―― 不思議な光景は、美しき....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ぐさ、お前さん、べろべろと舐める。目から蝋燭の涙を垂らして、鼻へ伝わらせて、口へ
垂らすと、せいせい肩で呼吸をする内に、ぶるぶると五体を震わす、と思うとね、横倒れ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
か女かちょっと判断のつかない服装をしている。鬚のない顔に長い睫毛、頭髪をうしろに
垂らすか、結い上げるかしているから、なるほど紛らわしいわけだ。そして、その家であ....
「重兵衛さんの一家」より 著者:寺田寅彦
た。コップに一杯の砂糖水をつくって、その上に小さな罎に入った茶褐色の薬液の一滴を
垂らすと、それがぱっと拡がって水は乳色に変わった。飲んでみると名状の出来ぬ芳烈な....
「ラプンツェル」より 著者:グリムヴィルヘルム・カール
お前の頭髪を下げておくれ!」 それを聞いて、ラプンツェルが編んだ頭髪を下へ
垂らすと、魔女はそれに捕まって、登って行きました。 これを見た王子は、心の中で....
「三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
それもすべて、いくらかの程度に過ぎなかった。ひどく早うちで、悦に入ると盤上に涎を
垂らすこともあった。 三木が二度目の夫人を亡くした後、その孤居を慰めるという口....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
「あれ……ウォートカ……なかったかい。」 「まだあがるの。毒よ。」 「ちょっと
垂らすだけだ。」 コップの水にウォートカを
垂らすと、氷のような味になった。また....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
ならない。天井裏に潜り込んでも、通風孔には細い目の金網が張ってあるから、ゴム管を
垂らす余裕がない。それに空気より幾分軽い気体だから、上部から送るのでは、効果が薄....
「丸の内」より 著者:高浜虚子
いた事がある。それは、「この便所も少し油断をするとすぐきたなくなる。不浄を周囲に
垂らす者がある。たまには落書をするものがある。又御苦労にも便所につるしてある紙を....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
進行の遅々たるだけ、益々苦痛が大きくなった。昔支那人は、頭の上へ、一滴ずつ、水を
垂らす刑を用いたと云うことだ。初めは微々たる一滴だから、何とも感ぜぬけれど、それ....
「三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
んだ。 私がそして、その首を作業台の上に置き、胴体の方は、腰から下を台の端から
垂らすようにして静かに寝かし、小鍋で膠を溶いていると、そこへ西谷が帰って来た。 ....