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垂れ
「垂れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
垂れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
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綱を上ったり下りたりしている猿。猿は燕尾服《えんびふく》の尾を
垂れた上、シルク・ハットを仰向《あおむ》けにかぶっている。この綱や猿の後ろは深い....
「影」より 著者:芥川竜之介
ずたか》い商用書類に、繁忙な眼を曝《さら》していた。
更紗《さらさ》の窓掛けを
垂れた部屋の内には、不相変《あいかわらず》残暑の寂寞《せきばく》が、息苦しいくら....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
だ》が、匂っているせいかも知れなかった。彼はその祭壇の後《うしろ》に、じっと頭を
垂れたまま、熱心にこう云う祈祷を凝らした。
「南無《なむ》大慈大悲の泥烏須如来《....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
そうに呟《つぶや》いたまま、蘭袋に礼を云うつもりか、床の上へ乱れた頭《かしら》を
垂れた。そうしてついに空しくなった。……
寛文《かんぶん》十年|陰暦《いんれき....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
―猶予《ゆうよ》未だ決せず、疑う所は神霊に質《ただ》す。請う、皇愍《こうびん》を
垂れて、速《すみやか》に吉凶を示し給え。」
そんな祭文《さいもん》が終ってから....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
、事によると、これは、金無垢の煙管に懲《こ》りた斉広が、子孫に遺誡《いかい》でも
垂れた結果かも知れない。
(大正五年十月)....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
、死の天使《アンジョ》の御剣《おんつるぎ》が茂作の体に触れませんよう、御慈悲を御
垂れ下さいまし。」
祖母は切髪《きりがみ》の頭《かしら》を下げて、熱心にこう祈....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
、まるで人目にかかるのを恐れるように、一すじ細く光りながら、するすると自分の上へ
垂れて参るのではございませんか。※陀多はこれを見ると、思わず手を拍《う》って喜び....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
、大きい三日月《みかづき》を仰ぎながら、しばしば熱心に祈祷を凝《こ》らした。この
垂れ髪の童女の祈祷は、こう云う簡単なものなのである。
「憐みのおん母、おん身にお....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
のを感じた。
「何か御用でございますか?」
男は何とも返事をせずに髪の長い頭を
垂れている。常子はその姿を透《す》かして見ながら、もう一度恐る恐る繰り返した。
....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
海辺《うみべ》に多い弘法麦《こうぼうむぎ》だけは疎《まば》らに砂の上に穂《ほ》を
垂れていた。その穂は僕等の来た時にはまだすっかり出揃《でそろ》わなかった。出てい....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
、いても立っても居られぬような気に」なったのであろう。あげた手が自《おのずか》ら
垂れ、心頭にあった憎しみが自ら消えると、彼は、子供を抱いたまま、思わず往来に跪《....
「初雪」より 著者:秋田滋
を読むのを止めてしまった。そして、手紙を持っている右の手は、静かに静かに膝の上へ
垂れて行った。一方、彼女はその左の手を、胸をひき裂くかと思われる、頑強な咳を鎮め....
「寡婦」より 著者:秋田滋
射手たちはこのひッきりなしに襲ってくる水攻めに絶えず身をかがめ、犬も悲しげに尾を
垂れて、肋骨のうえに毛をぺッたりくッつけていた。身体にぴッたり合った年わかい女の....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
秋の宝を見わたした。どこを見ても林檎があふれるほどだった。木の枝も折れるばかりに
垂れさがっているかと思うと、集められて籠や樽に入れられ市場へ送りだすようになって....