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「垂れ幕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

垂れ幕の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
やら煙のようなものの燻《くすぶ》り出るのが見えるようでもある。 薄れ明るむ雲の垂れ幕とたそがれる宵闇の力とあらがう気象の摩擦から福慈岳の巨体は、巨体さながらに....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
逢う魔が時刻 秋も十一月に入って、お天気はようやく崩れはじめた。今日も入日は姿を見せず、灰色の雲の垂れ幕の向う側をしのびやかに落ちてゆくのであった。時折サラサラと吹いてくる風の音....
三人の双生児」より 著者:海野十三
いことを知ったが、丁度幸いにもいま座長の銀平老人は、古幟で綴った継ぎはぎだらけの垂れ幕の向うに茶を飲んでいるということであったから、妾は思いきってズカズカと中に....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
人、窃かに施術をしていようとは、誰とて意外とするところであろう。 月子は静かに垂れ幕をかかげ、前部屋へ姿を現わした。 陶器師は頭を介え、その頭を地に押し付け....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
時に作っていた細工物の種類ですか? サアそれはハッキリおぼえませんけども、神様の垂れ幕だの、半襟だの、袱紗だの、着物の裾模様だの、羽織の縫紋だのいろんなものがあ....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
がある事を発見していた。 たった今気がついた左右の出入口の、褐色ゴブラン織りの垂れ幕は、青ペンキ塗りの粗末な扉を隠すためである。壁際の大机は今まであったものだ....
ココナットの実」より 著者:夢野久作
ドイ印度風の刺繍や、更紗模様で蔽いかくしてあった。その中でも隣りの室との仕切りの垂れ幕には、特別に大きい、黄金色のさそりだの、燃え立つような甘草の花だの、真青な....
少年探偵長」より 著者:海野十三
この剛情者二人は、当分あそこへ放りこんでおけ」 そういい捨てて、頭目はうしろの垂れ幕をわけて、その奥に姿を消した。異様な背高のっぽの覆面巨人だ。牛丸少年は、感....
大空魔艦」より 著者:海野十三
もううすぐらくなりかけた。 空の遠くには、まだ極光が現れ、そのうつくしい七色の垂れ幕がしずかに動いてゆく。 そのとき空の一角から、轟々と爆音がひびいてきた。....
曲馬団の「トッテンカン」」より 著者:下村千秋
吹いて来る夜風にゆらりゆらりとゆれかがやいています。テントの正面には、金と銀との垂れ幕が下がり、絵看板がならび、赤と黄と青との旗がそれをかこみ、きらきら光る電灯....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
から、お客様に失礼になっても困りますから。ムッシュ・コンキーチは、客から見えない垂れ幕のうしろにいて、バルトリがペンギン鳥の水槽の縁をたたいて、 「みっちゃんや....
古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
行った。 わたくしたちは廚子の左側に立った。高い扉は静かに左右に開かれた。長い垂れ幕もまた静かに引き分けられた。香木の強い匂いがわれわれの感覚を襲うと同時に、....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
聞かせたかったのである――姿の見えぬ聞き手、いかにも劇的に姿を現わしたあと、すぐ垂れ幕の後ろの自分の席に退いたあの男に聞かせたかったのである。侍史の、ベエコンと....