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垢
「垢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
垢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
」
「……」
老婆は、あわただしくふり返った。見ると、年は六十ばかりであろう。
垢《あか》じみた檜皮色《ひわだいろ》の帷子《かたびら》に、黄ばんだ髪の毛をたらし....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
一冊発見した。それも只の「ツアラトストラ」ではなかった。二月ほど前に彼の売った手
垢《てあか》だらけの「ツアラトストラ」だった。彼は店先きに佇《たたず》んだまま、....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
りは高いくらいであろう。顔はダアワという名前の通り、(ダアワは月の意味である。)
垢《あか》の下にも色の白い、始終糸のように目を細めた、妙にもの優しい女である。夫....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
こうとう》へ舟で渡そうと云ったそうですな。もし項羽《こうう》に英雄の器があれば、
垢を含んでも、烏江を渡るです。そうして捲土重来《けんどちょうらい》するです。面目....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
った。その混雑の中に――
つつましく隅《すみ》へ寄って、その混雑の中に、静かに
垢《あか》を落している、六十あまりの老人が一人あった。年のころは六十を越していよ....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
、――品《ひん》の好《い》い緑に茶を配した裏は表よりも一層見事である。これほど手
垢《てあか》さえつかずにいたらば、このまま額縁《がくぶち》の中へ入れても――いや....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
て行った。当時有名な煙管商、住吉屋七兵衛《すみよしやしちべえ》の手に成った、金無
垢地《きんむくじ》に、剣梅鉢《けんうめばち》の紋《もん》ぢらしと云う、数寄《すき....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
には、何百人かの罹災民諸君が、雑然として、憔悴《しょうすい》した顔を並べていた。
垢《あか》じみた浴衣で、肌《はだ》っこに白雲のある男の児《こ》をおぶった、おかみ....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
た。おばあさんのいる所の前がすぐ往来で、往来には髪ののびた、手も足も塵《ちり》と
垢《あか》がうす黒くたまったはだしの男の児《こ》が三人で土いじりをしていたが、私....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
る恐る、見るような、見ないような顔をして、そっとその人間を窺《うかが》って見た。
垢じみた道服《どうふく》を着て、鳥が巣をくいそうな頭をした、見苦しい老人である。....
「少年」より 著者:芥川竜之介
は二千年|前《ぜん》の今月今日、ベツレヘムに生まれた赤児《あかご》のように清浄無
垢《しょうじょうむく》のものと信じられている。しかし彼の経験によれば、子供でも悪....
「或る女」より 著者:有島武郎
づきました」
といってそのまま二階に行こうとすると、叔母は爪《つめ》にいっぱい
垢《あか》のたまった両手をもやもやと胸の所でふりながら、さえぎるように立ちはだか....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
り悟ったようなことを申すのは何でもありませぬが、実地に当って見ると思いの外に心の
垢の多いのが人間の常でございます。私も時々こちらの世界で、現世生活中に大へん名高....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
たん肉感肉慾の誘惑にかかった魂は、終にその奴隷とならずんば止まぬ。彼は到底清純無
垢の境地に安住し得ない。彼の望むところは、お馴染の魔窟であり、悪習慣である。友は....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
だらけの両|頬を気持の悪い程赤く火照らせた、如何にも田舎者らしい娘だった。しかも
垢じみた萌黄色の毛糸の襟巻がだらりと垂れ下った膝の上には、大きな風呂敷包みがあっ....