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垣根越し
「垣根越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
垣根越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
の血が沸き上がって頭がぐらぐらして来た。彼女は前後の分別もなしに家を駈け出して、
垣根越しに内の様子を覗きに来たのであった。 「そりゃあ飛んでもない間違いだ」 ....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
をあけて反対の方角から鉤《かぎ》の手に曲って見るか、または後架《こうか》の窓から
垣根越しに眺《なが》めるよりほかに仕方がない。窓から眺める時はどこに何がいるか、....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
は、こう荒いんだろう。男だか女だか解りゃしない」 こう高瀬は濡縁のところから、
垣根越しに屋外に立っているお島に言った。 「大工さんの家の娘とはもう遊ばせないッ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
過ぎた。灯に照らされた人のすがたは主人の伝兵衛と伜の伝四郎とであることを、澹山は
垣根越しにはっきり認めた。 「碁を打ちに行ったのではない。親子連れで夜詣りかな」....
「家」より 著者:島崎藤村
をした。 「まあ、正太さん、お上んなすって下さい」 こう叔母に言われて、正太は
垣根越しに家の内を覗いて見た。 「叔父さんは?」 「一寸歩いて来るなんて、大屋さ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ころへ見舞に行こうとして廊下を渡って行くと、 「ちょッ、ちょっと、お角」 裏の
垣根越しに呼び留めたものがあります。 「どなた」 お角がその
垣根越しを振返って....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
来てくれた若い馬商人。お嬢様の方の姿は座敷の中にいて見えませんけれど、幸内の姿は
垣根越しによく見ることができました。 「幸内や、お前に貸して上げるには上げるけれ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たものと見えます。 この男は地へ下り立つと、パッパと合羽《かっぱ》の塵を払い、
垣根越しに屋敷の奥の方の燈《ともし》の光をすかし、それから笠を揺り直し、草鞋《わ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
きの鼻が利かないのは不思議なほどです。 少々たずねあぐんだ時に、ふと小ぎれいな
垣根越しに見ると、庭にうずくまって植木いじりをしている一人の老人を見かけました。....
「女人創造」より 著者:太宰治
のである。謂わば、なつかしい現実である。 江戸の小咄にも、あるではないか。朝、
垣根越しにとなりの庭を覗き見していたら、寝巻姿のご新造が出て来て、庭の草花を眺め....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
なかったほどの温良さが。彼女の身振には「仲直り……」という意味が見えていた。彼は
垣根越しにその手をとらえ、身をかがめてそれに接吻《せっぷん》した。彼女は少しも手....
「地上」より 著者:島田清次郎
彼は深井に尋ねたが、深井も知らなかった。深井の家を訪ねてもみたが、かつて見出した
垣根越しの隣家の庭に和歌子の姿を見ることはなかった。 「隠したのかな※」彼は和歌....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
町に住った頃、近所に常磐津を上手に語る家があった。二葉亭は毎晩その刻限を覘っては
垣根越しに聞きに行った。艶ッぽい節廻しの身に沁み入るようなのに聞惚れて、為永の中....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
《ひとしお》色濃く照している。箒の音と人の声とは隣の女中とわたくしの家の女中とが
垣根越しに話をしながら、それぞれ庭の落葉を掃いているのであった。乾いた木《こ》の....
「はつ恋」より 著者:神西清
です」 父は立ち止ったが、急に踵でくるりと回ると、とって返して行った。そして、
垣根越しにジナイーダと肩を並べる辺まで行くと、父は丁寧に彼女に会釈をした。彼女も....