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「堂宇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

堂宇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
因縁ごとででもあるかのごとく、黙々として屋根の背中を光らせながらそびえ立っている堂宇が見えるのです。 「にらめっことはうまいことをいいましたね。ほんとうに、屋根....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
尼僧たちは、無慮二百名にも及ぶと注せられたほどでしたが、それかあらぬか、広大なる堂宇|伽藍《がらん》は、いまし、迫った落日の赤々とした陽光に照りはえて、伽藍を囲....
荒雄川のほとり」より 著者:佐左木俊郎
太子が自ら刻んだという如意輪《にょいりん》観音の像だけは、寺院の近くに、今にその堂宇《どうう》を残しているのであるが、最近、それが聖徳太子の作ではなく運慶《うん....
島原の乱」より 著者:菊池寛
いた。 明治初年信教の自由許され、カソリック教の宣教師が来朝し、長崎大浦の地に堂宇を建てて、朝夕の祈祷をしていると、どこからともなく集って来た百姓が、宣教師の....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
堂がある。胎龍の屍体が発見されたのは、薬師堂の背景をなす杉林に囲まれた、荒廃した堂宇の中であった。 三尺四方もある大きな敷石が、本堂の横手から始まっていて、薬....
作家的思想」より 著者:豊島与志雄
途で腰くだける時、思想やそれらはなまのままとして残る。コンクリートの中に納まって堂宇を支える鉄筋とはならずに、草の上に曝された錆鉄となる恐れがある。 然らば作....
オランウータン」より 著者:豊島与志雄
い。その長い隧道をすぎると、ぱっと明るい照明で、その先に、大きな石の鳥居、立派な堂宇、稲荷様の本社だ。 或る夜おそく、もう二時……丑三つに近い頃、ふらりと酔歩....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
世界がその足音を聞いた巨人の化石を。――それは、廃兵院の円屋根を頭にいただき、大堂宇の無数の腕で空を抱いてるルーヴル美術館を帯にまとい、ナポレオン凱旋門の堂々た....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の光を、肉体的に苦しみました。どんよりした色の家並み、ある穹窿《きゅうりゅう》や堂宇の線の凡俗さ、今まで私の気に止まらなかったそれらのものが、ひどく私の気持を害....
読書子に寄す」より 著者:岩波茂雄
人によって愛されることを自ら望む。かつては民を愚昧ならしめるために学芸が最も狭き堂宇に閉鎖されたことがあった。今や知識と美とを特権階級の独占より奪い返すことはつ....
増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
また徳川初期の清妙芳麗な工芸の神技を発揮しているものに、台徳院本殿内に安置した堂宇と、奥院の宝塔とがある。宝塔は木造で斗※以上を極彩色とし、軸部には全面に蝋色....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
二人。そのうち、英国および英国所領地内にあるもの百四十七人なりという。 寺院の堂宇および所属財産は、国教宗にては法律上その住職の所有とし、非国教宗にては檀家中....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
は旧教をもって国教となすにもかかわらず、宗教の勢力実に微々たり。ただ旧慣によりて堂宇を維持するもののごとし。午後、植物園、動物園を一覧す。すべてこの種の設備は、....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
いるのだね。 概して詞に、言句にたよるに限る。 そうすれば不惑の門戸から 堅固の堂宇に入ることが出来る。 学生 しかし先生、詞には概念がなくてはなります....
澪標」より 著者:外村繁
ある。 字《あざ》の中央、観音寺山城の鬼門にあたると伝えられているところに、小堂宇がある。一人の老尼が守っている。春秋の彼岸会に、地獄極楽の絵がその堂内に掛け....