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堅い
「堅い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
堅いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
所へは帰さないと、強面《こわおもて》に云い渡してしまったそうです。が、勿論新蔵と
堅い約束の出来ていたお敏は、その晩にも逃げ帰る心算《つもり》だったそうですが、向....
「或る女」より 著者:有島武郎
奥さんになっておもらいしたいがいかがです。木村君はわたしもよく知っとるが、信仰も
堅いし、仕事も珍しくはきはきできるし、若いに似合わぬ物のわかった仁《じん》だ。こ....
「或る女」より 著者:有島武郎
そりと磨《みが》きのかかった皮付きの柱も、葉子に取っては――重い、硬《こわ》い、
堅い船室からようやく解放されて来た葉子に取ってはなつかしくばかりながめられた。こ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た頃には日は暮れてしまっていた。物の輪郭《りんかく》が円味《まるみ》を帯びずに、
堅いままで黒ずんで行くこちんとした寒い晩秋の夜が来た。
着物は薄かった。そして....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
におこされると私の眼はもう朝まで閉じなかった。朝飯を食うと私は赤い眼をしながら、
堅い心《しん》のようなものの出来た頭を抱えて仕事をする所に出懸けた。
北国には....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
持ちになって、草履《ぞうり》の爪《つま》さきを、上皮だけ播水《まきみず》でうんだ
堅い道に突っかけ突っかけ先を急いだ。
子供たちの群れからはすかいにあたる向こう....
「星座」より 著者:有島武郎
自分にもよくは解らなかった。左手には小さなシラーの詩集を持って。頂上には、おもに
堅い木で作った大きな歯車《はぐるま》や槓杆《てこ》の簡単な機械が、どろどろに埃《....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
れども、下手だからだめです」 私の答えないのを見て、君は自分をたしなめるように
堅いさびしい調子でこう言った。そして私の目の前に取り出した何枚かの作品をめちゃく....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
へ帰ります。どうか御安心なすって下さい。王子の剣は鉄を切る代りに、鉄よりももっと
堅い、わたしの心を刺したのです。わたしはあなた方の御婚礼のために、この剣と長靴と....
「親子」より 著者:有島武郎
うな薄ぼんやりにはわかるまいさ」 二人の言葉はぎこちなく途切れてしまった。彼は
堅い決心をしていた。今夜こそは徹底的に父と自分との間の黒白をつけるまでは夜明かし....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
の前を過ぎて通ったと思った。と、その両肱は棚のようなものに支えられて、膝がしらも
堅い足場を得ていた。クララは改悛者のように啜泣きながら、棚らしいものの上に組み合....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
自然と人間の精通者ゲーテとともに、未来は更に一層より善くなるばかりであろうという
堅い希望を抱いても差支えはないであろう。 げに大なる歓びなれや、 世々の精神に我....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
感じた。而してそわそわしながら、ヤコフ・イリイッチの方を向くと、彼の眼は巖の様な
堅い輪廓の睫の中から、ぎらっと私を見据えて居た。思わず視線をすべらして下を向くと....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
たい……。』 私の胸はそうした考えで、一ぱいに張りつめられて了いました。 物
堅い良人の方でも、うわべはしきりに耐え耐えて居りながら、頭脳の内部は矢張りありし....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
とびながら、なおかんがえつづけました。「わたしは昼間、役所につとめて、石のように
堅い椅子に腰をかけて、おもしろくないといって、およそこの上ない法律書類のなかに首....