»
堅さ
「堅さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
堅さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
ように閾口まで出迎えて握手の手を差し出した。近頃氏の握手には木骨に触れる性の無い
堅さを感じる。これは永年の劇しい創作的努力と英国紳士としての対外的妥協の生涯から....
「食魔」より 著者:岡本かの子
といて呉れ給え」 といって御用聞きの出入り口から出て行った。 靴の裏と大地の
堅さとの間に、さりさり砂ほこりが感じられる初冬の町を歩るいて鼈四郎は自宅へ帰りか....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
。」 思わず、その顔を見ると、その暗い闇の中で、美和子は眼をつむって、桜んぼの
堅さを思わせるような型のよい愛らしい唇を、心持上へさし出して……。 美沢は、身....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
い、深い、徹底した人間になりたい。だがそう思いつつも父だけの善良さ、柔和さ、義理
堅さにもなかなかなれないのである。私は父のことを思うとレッシングのことを思う。あ....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
、ふと見ると小溝の上に小さな板橋とおぼしいのが渡っているのが見えたので、其板橋の
堅さを仮りてと橋の上にかかったが、板橋では無くて、柴橋に置土をした風雅のものだっ....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
たことがあった。然しいくら働いても、社員にしてくれないので、彼は十九頃からやけの
堅さを持っている。彼らはそして汽槌のような意志を持っていた。――この労働者の首ッ....
「決戦川中島 上杉謙信の巻」より 著者:坂口安吾
つまみ、臍の緒のようなものをひきだして舌にのせた。噛みしめると、実にうまい。貝の
堅さがなく、草木の若芽の如くに腹中に溶けこむ趣きである。余は皿のバイをみな平らげ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
りの松は、どんなに力んでみてもすぐには岩は割れない。また大きくなった松でも、幹の
堅さだけで岩を割るわけにはいかない。岩を割る力は幹の
堅さでなくて、命の力なんだ。....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
しも悔まない。彼らにとって、ともかくもそこはまだ見ぬ国なのである。焦茶色の外皮の
堅さは、こんな場合にもかすり傷一つ負わさない。 私はこんなことを思いながら、栗....
「省察」より 著者:デカルトルネ
。そして外においては、物体の延長、及び形体、及び運動のほか、私はまた物体において
堅さ、熱、及び他の触覚的性質を感覚した。さらにまた私は光、及び色、及び香、及び味....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
のでも舷側で押しくずされるぐあいや、海馬が穴から顔をだす様子などから、その氷塊の
堅さや重さや厚さなどが、ほとんど感覚的に直観される。雪原の割れ目などでも、橇で乗....
「物理学の応用について」より 著者:寺田寅彦
だけでも面白い問題が沢山ある。例えば穀物の研究でも少し詳細にするとすれば、米粒の
堅さとか、比重とかを測定する必要が起る。また穀物の生長に及ぼす、光、熱、電気等の....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
爛たるものに評価し、ひそかに憧憬を寄せていたのだったが、合理的な清川のやり口の手
堅さを知ることができたと同時に、葉子の色もいくらか褪せて来たような感じだった。 ....
「道化役」より 著者:豊島与志雄
く固くなっていた。私はその石像の唇を求めた。瞬間に、石像は肉塊になった。その肩の
堅さと腕の強さとを私は知った。だが、つぶっていた眼を彼女が薄く開きかけた時、私は....
「創作家の態度」より 著者:夏目漱石
訳には参りません。堅いのは石が堅いので、冷たいのもやはり石が冷たいんだから、その
堅さ冷さを石から奪って、心に与える訳には参りません。しかしひとたび立場を変えて、....