堅気[語句情報] »
堅気
「堅気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
堅気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
の百貨店でよく彼女を見かける。 目立たない洋髪に結び、市楽《いちらく》の着物を
堅気風につけ、小女一人連れて、憂鬱な顔をして店内を歩き廻る。恰幅《かっぷく》のよ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、二十ばかりの細面、薄化粧して眉の鮮明な、口許の引緊った芸妓島田が、わざとらしい
堅気づくり。袷をしゃんと、前垂がけ、褄を取るのは知らない風に、庭下駄を引掛けて、....
「妖術」より 著者:泉鏡花
一緒に行くように信じられた。 何だろう、髪のかかりが芸者でない。が、爪はずれが
堅気と見えぬ。――何だろう。 とそんな事。……中に人の数を夾んだばかり、つい同....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
夜は珍らしく新川|河岸の堀に臨む料理屋へ小初を連れ込んだ。 「待合?」 小初は
堅気な料理屋と知っていて、わざと呆けて貝原に訊いた。貝原は何の衝動も見せず 「そ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
かってから、また、いろいろな雑誌の口絵の花嫁や新家庭の写真を見たりしてあたし今に
堅気のお嫁さんになり度くなったの。でも、こんなことしていて、真面目なお嫁さんにな....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
「たった半年だ。君は?」 「わたしの方は二週間よ、すぐだわ。こんど出たら本当に
堅気になろうと思ってるの。お前さん出たらやって来ない? うちはどこ?」 という....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
ていました。取巻きに六七人|芸妓が附いて。」 男衆の顔を見て、 「はあ、すると
堅気かい、……以前はとにかく、」 また男衆は、こう聞かれるのを合点したらしく頷....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
思います。御維新の騒ぎに刀さしをやめたのは可いんですけれど、そういう人ですから、
堅気の商売が出来ないで、まだ――街道が賑かだったそうですから、片原の町はずれへ、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
それ、弁持の甘き、月府の酸きさ、誰某と……久須利苦生の苦きに至るまで、目下、素人
堅気輩には用なしだ。誰が売女に好かれるか、それは知らないけれどもだよ。――塾の中....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
でも、あんまり茂ると物凄いさ。私ゃもう疾にからそこへ気が着いて厭になって、今じゃ
堅気になっているよ。ね、お前さん、厭な姿は、蛇が自分でも可い心持じゃあなかろうで....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
行き始めた。 聞いてみるとその子の父親が実は人形使いなので、ふだんは職人か何か
堅気の職業に従事しているのであつた。それにしても、その子供がいつたい何を手伝いに....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
立派(?)に修繕せられて、やや人の住居らしく往還に背を向けて立っている。M公も「
堅気」になったのかしら、女房でももらって「身を固めた」のかしら、と思って聞いてみ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、慙愧のいたりなんですが、私ばかりではありません。そのころの血気な徒は、素人も、
堅気、令嬢ごときは。……へん、地者、と称えた。何だ、地ものか。 薬でも、とろろ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
しまして、」といいかけてまた額の汗を。見る処人形町居廻りから使に頼まれたというが
堅気の商人とも見えず、米屋町辺の手代とも見えず、中小僧という柄にあらず、書生では....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
七日だけれども、小遣がないのである。而已ならず、乙姫様が囲われたか、玄人でなし、
堅気でなし、粋で自堕落の風のない、品がいいのに、媚かしく、澄ましたようで優容やか....