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「堪え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

堪えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
惚《うぬぼ》れの一つだったかも知れない。」 こういう不安は、彼の上に、何よりも堪えがたい、落莫《らくばく》たる孤独の情をもたらした。彼は彼の尊敬する和漢の天才....
一夕話」より 著者:芥川竜之介
時分である。 「僕はそいつを見せつけられた時には、実際|今昔《こんじゃく》の感に堪えなかったね。――」 藤井は面白そうに弁じ続けた。 「医科の和田といった日に....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
来るのじゃ。現に昨夜《ゆうべ》も。――」 こう云いかけて、あの沙門はさも感慨に堪えないらしく、次第に力の籠って来た口をしばらくの間とざしました。 ....
じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
と、いよいよ彼を嘲弄《ちょうろう》した。吉助は愚物ながら、悶々《もんもん》の情に堪えなかったものと見えて、ある夜|私《ひそか》に住み慣れた三郎治の家を出奔《しゅ....
」より 著者:芥川竜之介
た薄暗がりのどこかに、潜《ひそ》んでいるような心もちがした。しかし以前よりさらに堪えられない事には、今度はその何物かの眼が、窓を後にした房子の顔へ、まともに視線....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
さされはしないかと云う、懸念《けねん》も満更ないではなかった。が、それにも増して堪え難かったのは、念友《ねんゆう》の求馬を唯一人|甚太夫《じんだゆう》に託すと云....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
罪を加えるのだ。もし今夜に差迫って、この約束を破ったなら――これも、やはり己には堪えられない。一つには誓言《せいごん》の手前もある。そうしてまた一つには、――己....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
の命も終りそうな気がした。しかしはき換えに帰るのはとうてい苛立《いらだ》たしさに堪えなかった。自分は足駄《あしだ》を出さなかった女中の愚《ぐ》を怒《いか》りなが....
蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
え断《き》れそうな、この細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの人数《にんず》の重みに堪える事が出来ましょう。もし万一途中で断《き》れたと致しましたら、折角ここへまで....
おしの」より 著者:芥川竜之介
と神父を見守っている。その眼には憐《あわれ》みを乞う色もなければ、気づかわしさに堪えぬけはいもない。ただほとんど頑《かたく》なに近い静かさを示しているばかりであ....
或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
それから? 保吉 それから一週間ばかりたった後《のち》、妙子はとうとう苦しさに堪え兼ね、自殺をしようと決心するのです。が、ちょうど妊娠《にんしん》しているため....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
いることは当時の仏蘭西に劣らなそうである。まことに、――欣幸《きんこう》の至りに堪えない。 創作 芸術家は何時も意識的に彼の作品を作るのかも知れない....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
件の起ったことを想像した。第一顔色も非常に悪い。のみならず苛立《いらだ》たしさに堪えないように長靴《ながぐつ》の脚を動かしている。彼女はそのためにいつものように....
久米正雄」より 著者:芥川竜之介
多情の久米の愛すべきことは誰でも云う。が、私は殊に、如何なる悲しみをもおのずから堪える、あわれにも勇ましい久米正雄をば、こよなく嬉しく思うものである。 この久....
良夜」より 著者:饗庭篁村
し。呉牛の喘ぎ苦しく胡馬の嘶きを願えども甲斐なし。夜はなおさら昼のホテリの残りて堪えがたければ迚も寝られぬ事ならば、今宵は月も明らかなり、夜もすがら涼み歩かんと....