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報い
「報い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
報いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「将軍」より 著者:芥川竜之介
そう思いながら、うっとり空へ眼をあげた。そうして今夜は人後に落ちず、将軍の握手に
報いるため、肉弾になろうと決心した。……
その夜《よ》の八時何分か過ぎ、手擲弾....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
」だのを読みかじったのは、西川なしにはできなかったであろう。が、僕は西川には何も
報いることはできなかった。もし何か
報いたとすれば、それはただ足がらをすくって西川....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
。わたしは甚内の身に危急《ききゅう》があれば、たとえ命は抛《なげう》っても、恩に
報いたいと決心しました。またこの恩を返す事は、勘当を受けた浮浪人《ふろうにん》の....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
に蔵していた幾顆の蜜柑を窓から投げて、わざわざ踏切りまで見送りに来た弟たちの労に
報いたのである。 暮色を帯びた町はずれの踏切りと、小鳥のように声を挙げた三人の....
「美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
つた仕事でないのだから、かうした讚辞を耳にしただけでも、もう狐光老の気持は充分に
報いられてゐた。そして、『何しろこりや、美術しん粉細工なんだから……。』と、ひと....
「或る女」より 著者:有島武郎
優しくさえしていたら、こんな死病は夢にも貞世を襲って来はしなかったのだ。人の心の
報いは恐ろしい……そう思って来ると葉子はだれにわびようもない苦悩に息気《いき》づ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
をもて、救うことをなし得ざる姉上、姉上が楓のために陥りたまいしと聞く、その境遇に
報い参らす。....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
優しいこと、嬉しいこと、可愛いことを聞くにつけ、云おう云おうと胸を衝くのは、罪も
報いも無いものを背後からだまし打に、岩か玄翁でその身体を打砕くような思いがして、....
「戦争中止を望む」より 著者:伊丹万作
充実を計り、三十年五十年後の機会を覗うこと以外にはあるまいと思う。科学を軽視した
報いがいかなるものか。物力を軽蔑した結果がいかなるものか。民力、民富の発展を抑制....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
志子の胸は悲憤に炎えていた。何を思うひまも行なう間もなかった。「惨酷なその強制に
報いるためには?」という問題ばかりが彼女の頭の中にたった一つはっきりした、一番は....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
分らない。しかしだまっている訳にはいかない。ようやくしぼり出したような苦しい笑を
報いながら、 「ええありがとうやっとどうにか――」と小さな声でいって下向いた。 ....
「瘤」より 著者:犬田卯
一 中地村長が胃癌という余りありがたくもない病気で亡くなったあと、二年間村長は置かぬという理由で、同村長の生前の功労に
報いる意味の金一千円也の香料を村から贈った直後――まだやっとそれから一ヵ月たつか....
「迷信解」より 著者:井上円了
すなわち、「人が己に遺恨ありとて、生きてはつき死してはつきて、そのうらみを自由に
報い得ることならば、大義にかかる源義経、武蔵坊弁慶などは、早速に梶原をとり殺し、....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
彼はこの一戦で王※のことも偽毛唐のことも皆忘れてしまって、きょうの一切の不運が
報いられたように見えた。不思議なことにはピシャリ、ピシャリのあの時よりも全身が軽....
「薬」より 著者:井上紅梅
にお前はあいつ等の陥穽に掛ったのだ。天道様が御承知です、あいつ等にもいずれきっと
報いが来ます。お前は静かに冥るがいい。――お前は果して、しんじつ果してここにいる....