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塊
「塊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の柄《つか》へ手をかけたが、やめて、くちびるを急に動かすとたちまち相手の顔へ、一
塊の痰《たん》をはきかけた。
「おぬしのような畜生には、これがちょうど、相当だわ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
彼女の過去は暗いものだった。彼女は病家の主人だの病院の医者だのとの関係上、何度一
塊の青酸加里を嚥《の》もうとしたことだか知れなかった。この過去はいつか彼女の心に....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
て居りました。が、私はその同僚に礼を云う余裕もないほど、頭の中はあの恐しい疑惑の
塊《かたまり》で一ぱいになっていたのでございます。私はやはり妻を殺すために殺した....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
数《かず》にしておよそ二三十人、中には竹馬に跨った童部《わらべ》も交って、皆|一
塊《ひとかたまり》になりながら、罵《ののし》り騒いでいるのでございます。さてはま....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
腹の中の子供を引ずり出した。残月の光りに照らされた子供はまだ模糊《もこ》とした血
塊《けっかい》だった。が、その血
塊は身震《みぶる》いをすると、突然人間のように大....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
まった。消える時に見ると、裙子は紗《しゃ》のように薄くなって、その向うにある雲の
塊《かたまり》を、雲母《きらら》のように透かせている。
その後《あと》からは、....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
なのです。しかし目だけは天才らしい閃《ひらめ》きを持っているのですよ。彼の目は一
塊《いっかい》の炭火《すみび》のように不断の熱を孕《はら》んでいる。――そう云う....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
来た。彼の体は曲り出した。彼の頭も垂れるようになった。今の彼はどこから見ても、石
塊《いしくれ》の下にもがいている蟹《かに》とさらに変りはなかった。
周囲に集ま....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
》が咲いている。」
穂積中佐は嬉しそうに、遠い土塀に簇《むらが》った、赤い花の
塊りを指した。Ecoute-moi, Madeline………――中佐の心にはい....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
る。おれはそれを手にとると、一突きにおれの胸へ刺《さ》した。何か腥《なまぐさ》い
塊《かたまり》がおれの口へこみ上げて来る。が、苦しみは少しもない。ただ胸が冷たく....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
私とて、まだまだ一|向駄眼でございますが、帰幽当座の私などはまるで醜くい執着の凝
塊、只今想い出しても顔が赭らんで了います……。 兎に角神様も斯んなききわけのな....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
を見ると、迂濶に常談も言われないのを感じた。轢死した彼は汽車の為に顔もすっかり肉
塊になり、僅かに唯|口髭だけ残っていたとか云うことだった。この話は勿論話自身も薄....
「墓」より 著者:秋田滋
もそれを墓穴から引ッぱり出そうとしているのだった。小形の龕燈が一つ、掘り返した土
塊のうえに置いてあり、その灯がこの見るに忍びない光景を照らしだしていた。 墓番....
「初雪」より 著者:秋田滋
長いクロワゼットの散歩路が、あおあおとした海に沿うて、ゆるやかな弧を描いている。遥か右のほうに当って、エストゥレルの山
塊がながく海のなかに突き出て眼界を遮り、一望千里の眺めはないが、奇々妙々を極めた....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
げている血が流れるのを眺め、それが柔かな、冷たい、動かない、考えることもしない一
塊りの肉にほかならないと思うのは、必ずや不思議な、心地よい快楽であろう。 八月....