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塩物
「塩物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塩物の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野分」より 著者:夏目漱石
《いただき》がぽくりと欠けて四面から煙が出る。風に連れて煙は往来へ靡《なび》く。
塩物屋《しおものや》に鮭《さけ》の切身が、渋《さ》びた赤い色を見せて、並んでいる....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
です。忍耐力に富んだ越後《えちご》商人は昔から爰《ここ》を通行しました。直江津の
塩物がこの山地に深入したのも専《もっぱ》らこの道を千曲川に添うて溯りましたもので....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
から、随分母に苦労をかけたのである。省作が永く眼を煩った時などには、母は不動尊に
塩物断ちの心願までして心配したのだ。ことに父なきあとの一人の母、それだから省作は....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
通り筋の喫茶店でお茶を呑むこともしばしばであった。葉子の家では以前町の大通り筋に
塩物や金物の店を出していたこともあって、美貌の父は入婿であったが、商才にも長けた....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
肉食はせぬから、折角の還俗も頗る甲斐がない訳である。甲州街道に肴屋はあるが、無論
塩物干物ばかりで、都会に溢るゝ※、秋刀魚の廻って来る時節でもなければ、肴屋の触れ....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
日常生活を多彩にしている。年じゅう同じように貯蔵した馬鈴薯や玉ねぎをかじり、干物
塩物や、季節にかまわず豚や牛ばかり食っている西洋人やシナ人、あるいはほとんど年じ....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
うることもあると思う。たとえば日常の生活について見るに、家族のみで食事するならば
塩物《しおもの》と香《こう》の物ぐらいで済《す》まされるが、突然の来客でもあれば....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
か食べたか」 小「何も食べません、何をやっても勿体ない/\と云って何も食べません
塩物をやったがそれも食べません、お香物を甜って御膳を食べて、一番|終いに香物をガ....
「豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
に生れ永田なかというのが本名である。父は尾州《びしゅう》家の藩士であったが維新後
塩物問屋をいとなんでいるうち彼女の十一歳のおりに病死してしまった。その後は母の手....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
七七・二三 二一・四五 〇・三〇 一・〇三 飛魚
塩物《とびうお》 六六・三四 二三・四七 〇・五四 ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
の秋から来て居て、彼の通り親切に忰の看病をするのは何うだえ、まだ年もいかないのに
塩物断をしたり、断食をして座敷の内でお百度を踏んで祈念を凝す貞信の心を、神さまも....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
の話をしかける。私はそれに何かいいかげんな返事をしながら一ぴきしかないくろだいの
塩物を出すか出さぬかでさっきから迷っている。あのくろだいは今私の家にある物のうち....