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「塵労〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

塵労の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
》のように、静かながら慕わしい、安らかな寂滅《じゃくめつ》の意識であった。一切の塵労《じんろう》を脱して、その「死」の中に眠ることが出来たならば――無心の子供の....
少年」より 著者:芥川竜之介
出来ないのに違いない。が、とにかく保吉は三十年後の今日《こんにち》さえ、しみじみ塵労《じんろう》に疲れた時にはこの永久に帰って来ないヴェネチアの少女を思い出して....
行人」より 著者:夏目漱石
《から》っ風《かぜ》……と既定の日程を平凡に繰り返して、かように去ったのである。塵労 一 陰刻《いんこく》な冬が彼岸《ひがん》の風に吹き....
道草」より 著者:夏目漱石
持になるのは迂闊《うかつ》な彼に取ってもう遅かった。偉くなろうとすればまた色々な塵労《わずらい》が邪魔をした。その塵労の種をよくよく調べて見ると、やっぱり金のな....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の青春を回顧して悔いが無いのはそのためである。やがて世はその乾燥と平凡と猥雑との塵労をもって、求めずとも諸君に押し寄せるであろうからである。 「常に大思想をもっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ものと、高く霊界に標致せんとするものと、漢は漢、胡は胡、上求《じょうぐ》は上求、塵労塵労、これを東隅に得て桑楡《そうゆ》に失わんとしつつあるものもあるようです....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
然何の理由もないのに、その時の彼を思い出す事がある。全然何の理由もないのに?――塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細細と一すじ断続している。…………....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
愛を抱かぬ者も予言者たり得ない。そのカラーを汚し、その靴を泥濘へ、象牙の塔よりも塵労のちまたに、汗と涙と――血にさえもまみれることを欲うこそ予言者の本能である。....
女性の諸問題」より 著者:倉田百三
悩みのままに、妻や、母は家庭や、育児の務めや、煩いの中に、職業婦人は生活の分裂と塵労とのうちに、生活を噛みしめ、耐え忍びよりよきを望みつつ、信仰を求めて行くべき....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
慾を起こさせたことは、どうしても父としては首尾一貫していない気がする。私の知った塵労の初めだとも言いたい。父母や先生の方ではもとより憎みのない、軽い気持ちであっ....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
講じつつあった間に、惜しくも夭折してしまった。そして死を期していた私は病癒えて、塵労の中にたたかいつつ生きている。そしてもひとりの久保謙君は水戸高等学校の教授兼....