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塵紙
「塵紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
塵紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新世帯」より 著者:徳田秋声
。 お作の宅は、その町のかなり大きな荒物屋であった。鍋、桶、瀬戸物、シャボン、
塵紙、草履といった物をコテコテとならべて、老舗と見えて、黝んだ太い柱がツルツルと....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
て下さい。僕はあげてもいいんですが、貴女がこだわると困るから。」
そう云って、
塵紙《ちりがみ》にこまかく包んだ金を松田さんは私の帯の間に挾《はさ》んでくれてい....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
祖父《じっ》ちゃん……――何すっかしんないよ」 「…………」 テーブルの上に、
塵紙のような紙に灰墨で乱暴に書いた貞之助の手紙があった。年よりならきッと書きそう....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
上に、並べられてある遺留品を眺めていた。使いかけの赤、黒のインク壺、硯、その他|
塵紙《ちりがみ》や古雑誌のゴタゴタしている真中に、黒く足跡のついた上草履が、誰か....
「雁」より 著者:森鴎外
爪に火を点すなどとは云うが、金を溜める人にはいろいろある。細かい所に気を附けて、
塵紙を二つに切って置いて使ったり、用事を葉書で済ますために、顕微鏡がなくては読ま....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
わないで借りて下さい。僕はあげてもいゝんですが、貴女がこだわると困るから……。」
塵紙にこまかく包んだ金を私の帯の間にはさもうとした、私は肩上げのとってない昔の羽....
「橋の上」より 著者:犬田卯
てるわ……まあ……」 一人の女生徒がびっくりしたような声で言った。彼女は袖から
塵紙を出した。そして圭太の顔へかがみかかって、ぬらぬらする鼻の下や口のあたりを丁....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
折って筆とした事もあった。その上に琉球|唐紙のような下等の紙を用い、興に乗ずれば
塵紙にでも浅草紙にでも反古の裏にでも竹の皮にでも折の蓋にでも何にでも描いた。泥絵....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
燈明を上げて供養するというのは余程おかしい。もちろんお経を粗末にして鼻紙にしたり
塵紙にするような人間があればそれは常識を失ったものといわなければならんけれども、....
「帯広まで」より 著者:林芙美子
なと云いたそうな冷たい眼をしていた。伊代にとっては取りつくしまがなかった。枕元の
塵紙の上には紫色に腫れたような桃の食いかけが果汁を滴たらせて置いてあった。九太は....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
束になって、その検束せられるものに随て行ったものが検束せられた。そうして検束者に
塵紙を差入れるために行ったものもまた検束せられた。 しかし、監房があまりに狭か....