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「塵芥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

塵芥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
それを口の端《は》に上《のぼ》せる事はできなかった。その瞬間に自分に対する誇りが塵芥《ちりあくた》のように踏みにじられるのを感じたからだ。葉子は自分ながら自分の....
高山の雪」より 著者:小島烏水
い輝きがなくなるのは、一部は空気を含むことが少ないからで、一部は鉱物の分子だの、塵芥泥土だのが加わって、黄色、灰色、または鳶色に変ってしまうからだ。殊に日本北ア....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ら石段を降りて行った。なにをするのかと与七は上からのぞいてみると、半七はうず高い塵芥のあいだを踏み分けて、大きいごろた石のかげから重ね草履の片足を拾い出した。か....
婦系図」より 著者:泉鏡花
から突出した物干棹に、薄汚れた紅の切が忘れてある。下に、荷車の片輪はずれたのが、塵芥で埋った溝へ、引傾いて落込んだ――これを境にして軒隣りは、中にも見すぼらしい....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
人の心の奥底にあるのと同様な――火が燃えてはいたけれども、その火を燻らそうとする塵芥の堆積はまたひどいものだった。かきのけてもかきのけても容易に火の燃え立って来....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
裁たれた錦繍のようだ。美しくとも、価高くあがなわれても、有りながら有る甲斐のない塵芥に過ぎない。 私が私自身に帰ろうとして、外界を機縁にして私の当体を築き上げ....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
らばっていた。纏足の女房は、小盗市場の古びた骨董のようだ。顔のへしゃげた苦力は、塵芥や、南京豆の殻や、西瓜の噛りかすを、ひもじげにかきさがしつゝ突ついていた、彼....
金属人間」より 著者:海野十三
かの破片は、いったいどこへ行ったのであろうか。 それはたぶん、掃除夫が集めて、塵芥焼却場《じんかいしょうきゃくば》にはこび、そこで焼いてしまったのであろう。む....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
、自分の胃の腑を知らないという事は全く大変な幸福な事である。勿論腹を腹とも思わず塵芥溜だと思って食物と名のつくものは手当り次第に口中へ捻じ込むというのは、あまり....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
次の初夏のころまで草原と池は底を現しているのである。すると近くの人々がその凹みを塵芥の捨場と心得て、ブリキの空箱などが山と積まれる。その不潔な山が春から夏への季....
黒百合」より 著者:泉鏡花
くもんだよ、慾の固だね。金と灰吹は溜るほど汚いというが、その宝を盗んで来るのは、塵芥溜から食べ荒しをほじくり出す犬と同一だね、小汚ない。 そんなことより滝さん....
入営する青年たちは何をなすべきか」より 著者:黒島伝治
くブルジョアジー解除した後にのみ、その世界史的見地に叛くことなく、あらゆる武器を塵芥の山に投げ棄てることが出来る。そしてプロレタリアートは、また疑いもなく、この....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
に魚の鱗が一つかみ、爛れた泥と水との間に捨てられていた。溜ってぼろ布のように浮く塵芥に抵抗しながら鍋膏薬の使いからしが流されて来た。ロンドンの六片均一店で売って....
国境」より 著者:黒島伝治
だった。氷塊が流れ初めた。河面一面にせり合い、押し合い氷塊は、一度に放りこまれた塵芥のように、うようよと流れて行った。ある日、それが、ぴたりと動かなくなった。冬....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
もののために泣かなくてはならぬ。 いや。己は切に感ずる。己は神々には似ておらぬ。塵芥の中に蠢く蛆に己は似ているのだ。 その塵芥に身を肥やして、生を偸んでいるうち....