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「墓前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

墓前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
それでも凛々《りり》しい物ごしに、どこか武士らしい容子《ようす》があった。二人は墓前に紅梅の枝を手向《たむ》けた。それから新しい四基の石塔に順々に水を注いで行っ....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
分の思い出したくないことであるが、おそらくその時の自分は、いかにも偉大な思想家の墓前を訪《と》うらしい、思わせぶりな感傷に充《み》ち満ちていたことだろうと思う。....
幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
部屋の隅の畳の上に、落として踏みつぶされたらしい真新しい線香、それも見覚えもない墓前用の線香が、半分バラバラになって散らばっているのでございます。なんという忌ま....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
死人と一緒に詰めたりする外、一般には、その葉を乾したり樹皮を砕いたりして、仏前や墓前で燻く、あの抹香を製造する原料にされているんだ。判るかい。つまりこの煎餅と言....
雛妓」より 著者:岡本かの子
明することを省く。わたくしは、ただ父の遺骸を埋め終ってから、逸作がわたくしの母の墓前に永い間|額づき合掌して何事かを語るが如く祈るが如くしつつあるのを見て胸が熱....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
呼んで指月ヶ岡と云うことになったとか。蕭条たる寒村の秋のゆうべ、不幸なる我が子の墓前に立って、一代の女将軍が月下に泣いた姿を想いやると、これもまた画くべく歌うべ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
て、その捜索を、府下における区々の警察に頼み聞えると、両国|回向院のかの鼠小憎の墓前に、居眠をしていた小憎があった。巡行の巡査が怪んで引立て、最寄の警察で取調べ....
海亀」より 著者:岡本綺堂
て、二人は無言でしばらく泣いていた。いや、お話にならない始末だ。 それから僕は墓前に参拝して、まだ名残り惜しそうに立っている清をうながすようにして、寺を出た。....
軽女」より 著者:上村松園
よいよ東に下る前日の元禄十五年十月十六日に、内蔵助は紫野の瑞光院に詣って、亡君の墓前に額づき、報讐のことを誓い、その足で拾翠菴に海首座をたずね、よもやまの話の末....
妖怪談」より 著者:井上円了
人なぞは、そこを通るとその人が出たなぞということが往々あります。世間には、愛子が墓前にあらわれ出でたとか、親が出たとか、怨者が出たとかいうことはたくさんあります....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
山の共同墓地に入りて、わか葉の扇骨木籬まだ新らしく、墓標の墨の痕乾きもあえぬ父の墓前に跪きぬ。父はこの月の七日、春雨さむき朝、逝水落花のあわれを示し給いて、おな....
叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
に残せしよ 十六日、午後より青山へ墓参にゆく。うららかに晴れたる日なり。英一の墓前には大村嘉代子が美しき草花を供えてあり。その花の香を慕いて、弱れる蝶一つたよ....
秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
を呼んで指月ヶ岡ということになったとか。蕭条たる寒村の秋のゆうべ、不幸なる我子の墓前に立って、一代の女将軍が月下に泣いた姿を想いやると、これもまた画くべく歌うべ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
一日、晴れ。甘利氏と同乗して墓地に至る。当日は年中一回の墓参日にして、場内群集、墓前献花地に敷く。あたかもわが盆十三日のごとし。墓地の美大なることアルゼンチンに....
魯迅さん」より 著者:内山完造
ったのでなんの問題もなかった。万国公墓の霊堂で八人の葬儀委員によって極めて厳粛な墓前式があった。蔡元培の式辞があり、沈鈞儒の略歴朗読があり、宋慶齢女史の告別の辞....