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墨染め
「墨染め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
墨染めの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
何とかして生きる方法を見付け出そうとあせった。 「しょせんは出家じゃ。鎧をぬいで
墨染めの法衣に換えたら、さすがに執念くも咎めまい。」 師直は思い切って言い出す....
「犬神娘」より 著者:国枝史郎
切れ長の眼を、ご上人様へ据えられました。 すると側にいた俊斎様が、 「竹の笠に
墨染めの腰衣、乞食坊主にやつしたらどうかな」 と、眉の迫った精悍な顔へ、ことも....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
コチと骨張って痛そうである。さて着物はどうかというに、鼠の布子に腰衣。その腰衣は
墨染めである。僧かと見れば僧でもなく俗かと見れば僧のようでもある。季節は早春の正....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
が轆轤車に乗せられ、こっちへ曳かれて来るのである。年の頃は二十一二、切り下げ髪に
墨染めの法衣、千切れた金襴の袈裟を掛け、手に水晶の数珠を握り、足には何んにも穿い....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
兼は黙って考えている。松若は本を見ている。親鸞、慈円、良寛、舞台の右手より登場。
墨染めの衣に、笈を負い草鞋をはき、杖をついている。笠の上には雪が積もっている。 ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
花の宴の日のことが思われ、当時の中宮《ちゅうぐう》が思われた。「今年ばかりは」(
墨染めに咲け)と口ずさまれるのであった。人が不審を起こすであろうことをはばかって....
「源氏物語」より 著者:紫式部
の家の夫人たちに使われている人たちに比べると見劣りがされた。顔だちのよい尼女房の
墨染めを着たのなどはかえってこうした場所にふさわしい気がして感じよく思われた。内....
「源氏物語」より 著者:紫式部
形ではあるが艶なところがなお残ってなつかしいお姿にたいそうな御法服などは召さずに
墨染め衣の簡単なのを御身にお着けあそばされたのがことに感じよくお美しいのを、院は....
「源氏物語」より 著者:紫式部
が咲いたのを見ても、『野べの桜し心あらば』(深草の野べの桜し心あらば今年ばかりは
墨染めに咲け)と思われたものですよ。それはごりっぱな方であることが小さいころから....
「源氏物語」より 著者:紫式部
あろうと思い、あの隙見をした夜明けのことと思い比べられた。 色変はる浅茅を見ても
墨染めにやつるる袖を思ひこそやれ これを独言のように言う薫であった。 色変はる....
「源氏物語」より 著者:紫式部
あったから、だれよりも求道心の深い薫にとっては不浄な思いは現わすべくもなく、また
墨染めの喪服姿の恋人にしいてほしいままな力を加えることはのちに世の中へ聞こえて浅....
「源氏物語」より 著者:紫式部
、桜色の厚織物を仮に重ねて見せ、 「姫君にはこんなのをお着せしたいのに、情けない
墨染めの姿におなりになって」 と言う女房があった。 あま衣変はれる身にやありし....