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墳
「墳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
墳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
うしんぼつぼつ》たる天下の自由児を動かしたであろう。彼らは皆その住み慣れた祖先|
墳墓《ふんぼ》の地を捨てて、勇ましくも津軽の海の速潮を乗りきった。 予もまた今....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
何百万、何千万の人々が、こんな生活にその天授の特異な力を踏みしだかれて、むなしく
墳墓の草となってしまったろう。それは全く悲しい事だ。そして不条理な事だ。しかしだ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
満々たる山伏坊主の冒険小説に非ざる地理学上の大貢献であって、今日猶お東方研究の三
墳五典として貴重されておる。此大著述も亦日本に幾何も存在しないだろうが、シカモ其....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
、それらのものは一つとして憂愁を癒すに足らず、転た懐旧の媒となりぬ。ただ野田山の
墳墓を掃いて、母上と呼びながら土に縋りて泣き伏すをば、此上無き娯楽として、お通は....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、まことに礼を失するに当る。が、ふとこの城下を離れた、片原というのは、渠の祖先の
墳墓の地である。 海も山も、斉しく遠い。小県凡杯は――北国の産で、父も母もその....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
の事)東京の小県へこの来書の趣は、婦人が受辱、胎蔵の玻璃を粉砕して、汚血を猟色の
墳墓に、たたき返したと思われぬでもない。 昭和八(一九三三)年一月....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
昨日ね。私の両親の墓は、ついこの右の方の丘の松蔭にあるんだが、そこへ参詣をして、
墳墓の土に、薫の良い、菫の花が咲いていたから、東京へ持って帰ろうと思って、三本ば....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
五 お通は琵琶ぞと思いしなる、名を呼ぶ声にさまよい出でて、思わず謙三郎の
墳墓なる埋葬地の間近に来り、心着けば土饅頭のいまだ新らしく見ゆるにぞ、激しく往時....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
えていたまいしが、うらわかくてみまかりたまいしとか、老いたる人の常に語る。苔深き
墳墓の前に、桔梗やらむ、萩やらむ、月影薄き草の花のむら生いたるのみ。手向けたる人....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、この身体、四角な室も穴めいて、膚の色も水の底、おされて呼吸の苦しげなるは、早や
墳墓の中にこそ。呵呀、この髪が、と思うに堪えず、我知らず、ハッと起きた。 枕を....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
らそうしたまでの話に過ぎなかったのでございます。 でも、私が死ぬるまで三浦家の
墳墓の地を離れなかったという事は、その領地の人民の心によほど深い感動を与えたよう....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
令を聴くのが当然だから、わたしは往々曲筆を慈んでやらぬことがある。「薬」の瑜兒の
墳墓の上にわけもなく花環を添えてみたり、また「明日」の中では、単四嫂子は終に子供....
「薬」より 著者:井上紅梅
っている。 だいぶ時間がたった。お墓参りの人がだんだん増して来た。老人も子供も
墳の間に出没した。 華大媽は何か知らん、重荷を卸したようになって歩き出そうとし....
「西航日録」より 著者:井上円了
内には八十歳前後の半身像ありと聞けども、校内を参観する時間なかりき。午後、先生の
墳墓に参拝す。墓所は市内なる大寺院(昨今建築中)の本堂に接続せる小室の内にあり。....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
す。 二十二日、晴れ。ロンドン北部ハイゲート墓地に至り、哲学大家スペンサー翁の
墳墓に拝参す。墓石大ならず、なんらの装飾なく、自然に同翁の性格を示すもののごとし....