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壁面
「壁面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
壁面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
。天井の高い二階建ての洋館は、辺りの日本建築を見下すように見える。赤い煉瓦造りの
壁面を蔦蔓がたんねんに這い繁ってしまっている。棲家として一番落着きのある風情を感....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
左右の塔櫓にかけて、急峻な屋根をひとわたり観察した後に、その視線を下げて、今度は
壁面に向けた顔を何度となく顎を上下させ、そういう態度を数回にわたって繰り返したか....
「流線間諜」より 著者:海野十三
もう一つの押釦をグイと押した。すると、果然その反応は起った。 図譜に向いあった
壁面に、一つの穴のようなものがポカリと明くと、その中からサッと赤色の光線が迸ると....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
て残暑の炎天を上野へ急ぐ辛さは深い。 その弱り目において、自分の絵を明る過ぎる
壁面に曝して見るのである。心萎びてしまう。招待日に紋付など着用して会場に立つ勇気....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
。とすればこの不景気にして、しかも大作を収容すべき家なき芸術愛好家は、その無数の
壁面の一枚の絵を持ち帰って狭い部屋へ懸けて見る必要はどうもなさそうである。友人の....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
果あることを考えつつ作って行くのに似ている。近くで見てちょうどよろしき仕上げでは
壁面へ収まってから、色も調子も飛んでしまって存在が弱い。 元来日本の油絵は奥行....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、すぐ、それさえも茫となる。 その目に、ひらりと影が見えた。真向うに、矗立した
壁面と、相接するその階段へ、上から、黒く落ちて、鳥影のように映った。が、羽音はし....
「巴里の秋」より 著者:岡本かの子
る巴里。秋は殊さらひそかになる昼だ。 何処か寂然として、瓢逸な街路便所や古塀の
壁面にいつ誰が貼って行ったともしれないフラテリニ兄弟の喜劇座のビラなどが、少し捲....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
の底へ落ちて行った。髑髏であった。一体の、完全に人の形を保っている骸骨が、穴倉の
壁面に倚りかかっていた。穴倉を出ようとして、よじ登ろうとして、力尽き、そのまま死....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
しまって、突出床から壁に添うて敷かれてある、竹簀の前で停まっていた。検事は前方の
壁面を見上げて思わず声を窒めた。それ迄バラバラに分離していた多くの謎が、そこで渾....
「瘤」より 著者:犬田卯
ような」という形容詞があるが、それがそっくり当てはまるような面構えで、むっつりと
壁面かどこかを睨まえている。 「本年度の予算案について、田辺君から修正したい点が....
「城」より 著者:カフカフランツ
忙殺されているんです。人の話によると、彼の部屋はこんなふうだということです。どの
壁面も積み重ねられた柱のような大きな書類束で被われており、しかもそれがソルディー....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
だ。 パルプ、パルプ。 * 観光団員の一人は、鼠色のセメントの
壁面に挿まれた、青色の急階段の半で、よろよろと倒れかかった。顔が真っ蒼になってい....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
しているが足元は危くない。水は右岸の岩壁の裾を横なぐりに深く刳っているので、滑な
壁面の上部は円天井のように狭い河身を掩うている。まるで片側の上の方が途切れた長い....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
段状を呈した緩い傾斜地であるが、厚く堆積した岩屑から成っていることが深く抉られた
壁面に現われている幾多の層から判断される。左は恐ろしい迄に急峻な大明神山が、花崗....