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声を掛ける
「声を掛ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
声を掛けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を遮るように、主税は真中へ立ったから、余り人目に立つので、こなたから進んで出て、
声を掛けるのは憚って差控えた。 そうしてお妙が気が付かないで、すらすらと行過ぎ....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
「御苦労様。」 わがために、見とどけ役のこの人数で、風呂を検べたのだと思うから
声を掛けると、一度に揃ってお時儀をして、屋根が萱ぶきの長土間に敷いた、そのあゆみ....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
婚礼の席に列った、従弟の細君にそっくりで。世馴れた人間だと、すぐに、「おお。」と
声を掛けるほど、よく似ている。がその似ているのを驚いたのでもなければ、思い掛けず....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
れが前へ立って、コトン、コトンと棒を突く。 「や、これ、太吉さん、」 と差配様
声を掛ける。中の青月代が、提灯を持替えて、 「はい、はい。」と返事をした。が、界....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、婆さんの居る腰掛を小楯に踞んで、梨の皮を剥いていたのが、ぺろりと、白い横銜えに
声を掛ける。 真顔に、熟と肩を細く、膝頭に手を置いて、 「滅相もない事を。老人....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
な気がおしやす。」 唐織衣に思いもよらぬ、生地の芸妓で、心易げに、島台を前に、
声を掛ける。 素袍の紗に透通る、燈の影に浅葱とて、月夜に色の白いよう、多一は照....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
れでもしたようで、腹へ風が徹って、ぞッとした。 すなわち、手を挙げるでもなし、
声を掛けるでもなし、運転手に向ってもまた合掌した。そこで車を留めたが、勿論、拝む....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
と、丁寧に、三指もどきのお辞儀をして、 「あの、もしえ。」 と初々しいほど細い
声を掛けると、茶の間の悪く暗い戸棚の前で、その何かしら――内臓病者補壮の食はまだ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
口と一所に突き出た不状なのが、前のめりにぶくりと浮いて、膝を抱いて、呀! と一つ
声を掛けると、でんぐりかえしを打ちそうな、彼これ大小もあったけれども、どれが七月....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
と背中を拭いている。 これは人間らしいと、一足寄って、 (君……) と掠れた
声を掛けると、驚いた風にぬっくりと立ったが、瓶のようで、胴中ばかり。 (首はない....
「道」より 著者:織田作之助
うとオダが、いやこいつは派手なお通夜の方が喜ぶぜと言って、おいサエキそうだろうと
声を掛ける。すると自分はそうだそうだ、おれは派手な方がいいんだ、陽気にやってくれ....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
かりの大岩が聳っていた。それが鸚鵡石であった。谷間二百歩ばかり隔ちて、こちらから
声を掛けると、同じ言葉を鸚鵡返しに答えるのだった。 「ああ、今日初めて自分の体に....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
、娘は掛蒲団の中へ顔を埋めている。眩しいのだろうか。 「灯り消そうか」 小沢が
声を掛けると、娘は半分顔を出して、 「ええ」 天井を見つめたまま、うなずいた。....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
た。容子がドウモ来客らしくないので、もしやと思って、佇立って「森さんですか、」と
声を掛けると、紳士は帽子に手を掛けつつ、「森ですが、君は?」 「内田です、」とい....
「四つの都」より 著者:織田作之助
どうして? 結婚なさるの、それとも……?」 初枝がそう言った時、突然十吉が後から
声を掛ける。 十吉「それとも、どっかへ行ってしまうんですか」 十吉の清子への傾倒....