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売人
「売人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
売人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
リイの友だちです。子どもの大勢ある細君の代わりに十三四のクイティの女をめとった商
売人上がりの仏蘭西《フランス》の画家です。この聖徒は太い血管の中に水夫の血を流し....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
るまでもない。
今別れ際《ぎわ》に声を懸けられたので、先方《むこう》は道中の商
売人と見ただけに、まさかと思っても気迷《きまよい》がするので、今朝《けさ》も立ち....
「親子」より 著者:有島武郎
。彼はそういう時には思わず知らずはらはらした。何処までも謹恪で細心な、そのくせ商
売人らしい打算に疎い父の性格が、あまりに痛々しく生粋の商人の前にさらけ出されよう....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ら来ないがいい、さ」 「それでも、来たの――あたし、あなたのような人が好きよ。商
売人?」 「ああ、商
売人」 「どんな商売?」 「本書き商売」 「そんな商売があり....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
、あいあい。 朱の盤 御進物が汚れたわ。鱗の落ちた鱸の鰭を真水で洗う、手の悪い魚
売人には似たれども、その儀では決してない。姥殿、此方、一拭い、清めた上で進ぜまい....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
を当てて聞いた。 「拍子ではござりませぬ、ぶつぶつと唄のようで。」 「さすが、商
売人。――あれに笛は吹くまいよ、何と唄うえ。」 「分りましたわ。」と、森で受けた....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
は表向、得心させて、連出して、内証で囲っていたのであるから。 言うまでもなく商
売人だけれど、芸妓だか、遊女だか――それは今において分らない――何しろ、宗吉には....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
医学生だったのと間違って。……ただ、それだけではないらしい。学生の癖に、悪く、商
売人じみた、はなを引く、賭碁を打つ。それじゃ退学にならずにいません。佐原の出で、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
寸法を知らず、間拍子の分らない、まんざらの素人は、盲目聾で気にはしないが、ちと商
売人の端くれで、いささか心得のある対手だと、トンと一つ打たれただけで、もう声が引....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
爪の跡を教えた。 「これはね、皆仲間の者が、道中の暗号だよ。中にゃあ今|真盛な商
売人のもあるが、ほらここにこの四角な印をつけてあるのが、私が行ってこれから逢おう....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
というのがよく来た。 新茶の出る時分になると、とんび(茶のブローカー)という商
売人が宇治一品のお茶という触れこみで新茶を売りに来る。 この「とんび」が油断の....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
で御註文を格別の扱だ。今日だけは他の剃刀を研がねえからね、仕事と謂や、内じゃあ商
売人のものばかりというもんだに因って、一番不浄|除の別火にして、お若さんのを研ご....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
椿岳の米三郎は早くから絵事に志ざした風流人であって、算盤を弾いて身代を肥やす商
売人肌ではなかった。初めから長袖を志望して、ドウいうわけだか神主になる意でいたの....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
募る事も軍資を作る事も決して出来なかったろう。西洋では詩人や小説家の国務大臣や商
売人は一向珍らしくないが、日本では詩人や小説家では頭から対手にされないで、国務大....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
立ちませんから、ちと心配しましたよ。ただ、何の事は無い、「素人で左様釣っては、商
売人の顔を踏み付けた仕打ちだ、大抵好い加減に釣ってれば好いに」という、強談なので....