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「売文〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

売文の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
は六十銭を上下《じょうげ》しているんですから……」 保吉はたちまち熱心にいかに売文に糊口《ここう》することの困難であるかを弁《べん》じ出した。弁じ出したばかり....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
保吉《やすきち》は三十になったばかりである。その上あらゆる売文業者のように、目まぐるしい生活を営んでいる。だから「明日《みょうにち》」は考....
あさましきもの」より 著者:太宰治
い、しのびつつ、ようやく六枚、あきらかにこれ、破廉恥《はれんち》の市井《しせい》売文の徒《ともがら》、あさましとも、はずかしとも、ひとりでは大家のような気で居れど、誰も大家と見ぬぞ悲しき。一笑。....
仇討たれ戯作」より 著者:林不忘
きいた風な口がきけやす。文を売って右から左に一家の口を糊《のり》する輩は、正直に売文を名乗ったほうがまだ茶気があるだけでも助かりやす。」 ずいぶんものの考え方....
詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
の態度は、価値批判の上に関係しない。故《ゆえ》にもし諸君が意志するならば、芸術は売文のためであってもよく、ミツワ石鹸《せっけん》の広告のためであってもよく、或は....
細木香以」より 著者:森鴎外
十一 猿寺の侘住いに遷った香以は、山城河岸の店から受ける為送の補足を売文の一途に求めた。河竹新七の紹介に由って、市村座の作者になり、番附に梅阿弥の名....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
後、青年が法科からどっと文科にうつった、紅葉なんかの時代、それにやや似ています、売文社の時代ですから。売文社で一脈を保とうとした時代だから。 自然主義が文芸の....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
一枚看板で押し上がり、彼女を見返してやりたかったのだ。でなければいくら当時の私の売文先が「苦楽」はじめ多く関西だったとしても、敵城近く乗り込んだりすることはなか....
二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
いた。 僕は東京から一歩も出なかった。あの「観察」を唯一の文学の糧だと心得る、売文家・旅行者どもを軽蔑しながら。 それから僕は寄宿舎に閉じこもったのだ。仲間....
上野」より 著者:永井荷風
其長文なるを厭わず饒歌余譚の一節をここに摘録する事とした。徒に拙稿の紙数を増して売文の銭を貪らんがためではない。わたくしは此のたびの草稿に於ては、明治年間の東京....
妾宅」より 著者:永井荷風
もっけの幸《さいわい》に、高等遊民不良少年をお顧客《とくい》の文芸雑誌で飯を喰う売文の奴《やっこ》とまで成り下《さが》ってしまったが、さすがに筋目正しい血筋の昔....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
、わずか一年くらいのものであった。進は一躍して文壇の流行児になり、俄《にわか》に売文の富を得るようになると、忽《たちま》ち杉原玲子という活動写真の女優に家を持た....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
少なくはない。しかしまず僕を動かしたのはこの「泰ちゃん」の作文である。運命は僕を売文の徒にした。若し「泰ちゃん」も僕のようにペンを執っていたとすれば「大東京繁昌....