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売渡
「売渡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
売渡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鯉魚」より 著者:岡本かの子
いた家来の男女は、薄情《はくじょう》なもので、両人|諜《しめ》し合せ、館も人手に
売渡《うりわた》し、金目のものは残らず浚《さら》ってどこかへ逃亡《とうぼう》して....
「野分」より 著者:夏目漱石
「ええ、御手紙はたしかに拝見しました。何か御著述があるそうで、それを本屋の方へ御
売渡しになるまで延期の御申込でした」 「さよう」 「ところがですて、この金の性質....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
りませんから、戦争のどさくさまぎれに誰かが持出して、横浜あたりにいる支那人にでも
売渡したのではあるまいかとも想像されますが、実物大の木像や木馬をどうして人知れず....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
「上海です」 「何、上海?」 「はい」 「うん、そうか。然し、お前が直接|上海へ
売渡す事はあるまい。誰かの手を経たのだろうが、それはどこの何者か」 「それは忘れ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
無論|欲しい。脅嚇も勿論|利く。二十万坪の内八万坪、五十三名の地主の内十九名は、
売渡承諾の契約書に調印してしまった。踟※する者もあった。余はある人に斯う云うた、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《な》でてみる。 「それからね、どうしたものやらその書付が藤三郎さんところの材木
売渡しの受取証文で、ちゃんと印形《いんぎょう》まで据《す》わっている」 「それは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
つれて来たとのこと、そこへつれて来ると共にお松を人買いの手に売り渡したこと、その
売渡し先は京都の島原《しまばら》であること、わざわざ京都へ売ったのは江戸では事の....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
れ以上の再生産の種としてすぐ様引き上げられねばならぬが)。この利潤は無論労働力の
売渡し人には返らない、彼等にはすでに労賃が、而も時価という正義に合した価格で、合....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
の手で船で大阪まで積んで行き、この留守居の手で、大阪相場を聞合わせ、出入の商人に
売渡す。これが藩の財政上のおもなる事件になっていた。 こういう事の外に大阪の留....
「初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
の手と思い込んでますます慄え上がりとうとう二百五十円まで奮発する。そうして社長に
売渡した器械の持主があとから出て来たのには実価以上の百円やって喜ばせて帰して、結....
「雁」より 著者:田中貢太郎
することにして、一身田と云う小さな宿場へ伴れて往き、其処の四日市屋と云う旅籠屋へ
売渡して、三箇年の身の代金六両二分を受けとって帰って来た。 一身田から在所まで....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
応じるのが正しい道筋で、いわゆる洋学を学ぶ者は、路なき道に入る人で、霊魂を幽霊に
売渡し、人一倍も疎んぜられ排斥されると思ったからである。まして彼女は自分の倅に逢....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
て教えてくれた。私は氏の説に従い、すぐに産地に行って新兵衛餅百俵を買い入れ、その
売渡し証を取って帰り、これを写真に撮って広告に※入し、往昔徳川将軍家御用であった....
「純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
ところでこれらの出資をなしおえれば、私は注文を受けた家具・什器を製作し、これを
売渡す。六、〇〇〇フラン現金で
売渡したとすれば、六〇〇〇フランを現金勘定の借方に....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
ることならん、その土地の内に産する生糸は一切|他に出さずして政府の手より仏国人に
売渡さるるよう致し度し、御承知にてもあらんが仏国は世界第一の織物国にして生糸の需....