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「壺中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

壺中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
中《うち》に起臥《きが》するのは、自から烏有《うゆう》の山水を刻画《こくが》して壺中《こちゅう》の天地《てんち》に歓喜すると、その芸術的の立脚地《りっきゃくち》....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
身空《みそら》じゃ、そう長持の中に隠れていずと、ちっとは広いところへ出てこいよ、壺中《こちゅう》の天地ということもあるから、それは長持の中もよかろうけれど、若い....
丹下左膳」より 著者:林不忘
丹下左膳。 いくつとなく壺を手がけても、めざすこけ猿の壺には、まだ見参しない。壺中の天地、乾坤《けんこん》の外《ほか》。 一つ事に迷執《めいしゅう》を抱き、....
十二支考」より 著者:南方熊楠
き》り取ると、彼随い来って復さん事を切願すれど与えず、髪を小豆納《あずきいれ》の壺中に蔵《かく》す。爾来彼童僕となって田作す、そのうち主人小豆|蒔《ま》くとて、....
十二支考」より 著者:南方熊楠
来たから、名残《なごり》惜しげに立ち去った。この場合、もし魅力これ恐怖といわば、壺中で四十分も自在に游ぎ廻る間に、一疋くらいは壺から外へ逃げそうなものだ。しかる....
我が子の死」より 著者:西田幾多郎
動かしたのは、今まで愛らしく話したり、歌ったり、遊んだりしていた者が、忽ち消えて壺中の白骨となるというのは、如何なる訳であろうか。もし人生はこれまでのものである....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
山の宮川の川原の中です。 川原の中を、すっくすっくと歩み行く竜之助、久しぶりで壺中《こちゅう》の天地を出て、今宵はじめて天と地のやや広きところへぬけ出したから....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は澄んでいて、天候の観察には便利でありましたが、このハイランドは、それに比べると壺中《こちゅう》の天地のようなものでしたから、一時は迷いましたけれど、今ではすっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
とはいえ、白骨よりは、はるかに天地の広いことを感ぜずにはおられません。 白骨は壺中《こちゅう》の天地でありましたけれど、ここは山間の部落であります。溶けて流れ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
に眼を上げて、またうっとりと、なだらかな胆吹尾根から近江の湖面を眺めやった時――壺中の白骨《しらほね》の天地から時あって頭を出して、日本の脊梁《せきりょう》であ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
五本(?)の指がパッと開きました。その瞬間、四粒の天地は、早くも五倫の宇宙から、壺中《こちゅう》の天地に移動している。つまり、はっという間に四つの小粒が、今し関....
丹下左膳」より 著者:林不忘
」 濶然《かつぜん》と哄笑した一風は、なおも筆を走らせ、 「大金の所在は、壺中にあり」 急《せ》きこんだ柳生対馬守、 「壺中にありとは、これいかに」....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
れば広がりもない。ただうす蒼い雰囲気があたり一面を掩うているのである。 鶴見が壺中の天地なぞというのはこんなものかと思っているうちに、夢が青い空気のなかから搾....
夢幻泡影」より 著者:外村繁
ばん》着ていましたか」 口口に言っては、わっという笑声だった。 いかにも最早壺中数片の骨に過ぎないではないか。 が、私もあはあはと笑いながら、またしても電....
四谷、赤坂」より 著者:宮島資夫
られるが私の行ったのは三十七、八年頃で、家の名は覚えていないが、その家の座敷に、壺中春、という額のかかっていたのを覚えている。物心のわかりかけた私はそれを見て変....