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「変質者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

変質者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
桜の樹の下には」より 著者:梶井基次郎
たとき、胸が衝《つ》かれるような気がした。墓場を発《あば》いて屍体を嗜《この》む変質者のような残忍なよろこびを俺は味わった。 この溪間ではなにも俺をよろこばす....
人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
事に従事した。焦熱《しょうねつ》地獄《じごく》のような工場の八時間は、僕のような変質者にとって、むしろ快い楽園《らくえん》であった。焼け鉄の酸《す》っぱい匂いに....
深夜の市長」より 著者:海野十三
入口の締りを外して中へ入ったとき、僕はなにか異変のあるのを直感した。僕はどこか変質者らしいところがあると見えて、前々からときどき不思議によく当る直感作用をもっ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
している。そういうように、意識が異様に分裂したような状態――それは時偶、ある種の変質者には現われるものですからね」と法水は、伸子の肯定を期待するように、凝然と彼....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
うすあかるいしするのに。それに、ええ奥さんがおってやないの」 私は、彼を精神的変質者であろうと、もともと思っていた。私は彼の手をひっぱって起した。彼は私のする....
次郎物語」より 著者:下村湖人
り葉掘り、詮議しはじめた。私は苦笑するよりほかなかった。更に他の一人は、「次郎は変質者だね。」と言った。これには私はかなり考えさせられた。そして、もしも次郎が、....
探偵小説を截る」より 著者:坂口安吾
。然し、どの個性も、どの人も、個性的であると共に合理的でなければならぬ。いかなる変質者も狂人も、合理的でなければならぬ。 人間性には、物理や数学のような公理や....
学生と教養」より 著者:倉田百三
る動機が存しなかったからといって、彼は責められるわけはないはずである。このことは変質者や、精神病者の場合には一層明らかである。色情狂はたしかに卑しむべきだ。そし....
太宰治情死考」より 著者:坂口安吾
夜に二千円のカストリをのみ、そのくせ、家の雨漏りも直さなかったという。バカモノ、変質者、諸君がそう思われるなら、その通り、元々、バカモノでなければ、芸道で大成は....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
なかったであろう。 私はこんな青年はザラにいると考えているのである。彼はたぶん変質者で、同居人や、主人筋の人々に愛されず、ひそかな反抗を内攻させて、あげくの放....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
。 ところが、ヤッカイ千万なことには、ナガレ目がタダモノではないということだ。変質者というのであろう。それも利巧すぎての変質者と異って、バカの上に変質者だから....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
誰袖、東路などと、名前さえも変ってしまう。そんな訳で、唯さえ人淋しく、おまけに、変質者で、祖母とは名のみのお筆と一所に住んで行くのには、到底耐えられなくなった矢....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ているか、でなければ一種の天才であると思った。 ずっと後になって彼は心理学上の変質者であることが解った。私が憎悪よりも、恐怖を感じたのも無理はなかった。私はそ....
ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
ろう? 狂信家なるが故であろうか? いや彼が教界刷新のやり口が秩序整然としていて変質者流の夫れでないところから推してこの断定はあたらない。けっきょく彼は大外交家....
酋長」より 著者:岡本かの子
開くと、ずばずば物を言った。朝子は、変化のない庭守を三四代も続けていると、一種の変質者が生れるのではないかと思った。 雪もよいの空ではあるが、日差しに張りのあ....