夕べ[語句情報] » 夕べ

「夕べ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夕べの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
、早くも藻巌山《もいわやま》の黒い姿に吸いこまれて、少し靄《もや》がかった空気は夕べを催すと吹いてくる微風に心持ち動くだけだった。店々にはすでに黄色く灯がともっ....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
ざ》めたり。その頬《ほお》は削《こ》けたり。その髪は乱れたり。乱れたる髪! その夕べの乱れたる髪は活溌溌《かつはつはつ》の鉄拐《てっか》を表わせしに、今はその憔....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
うことになる。宗教の問題も解決はそこに帰するのであろう、朝《あした》に道を聞いて夕べに死すとも可なりとは、よく其精神を説明して居るではないか。 岡村は欠《あく....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
間も食事を薄くするにただこの魔力ある植物の振り出しをもってした。そして茶をもって夕べを楽しみ、茶をもって真夜中を慰め、茶をもって晨を迎えた。」 ほんとうの茶人....
ひこうかばん」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
くはございません。」と、石のスープ入がこたえました。「まあ、それよりか、たのしい夕べのあつまりということにいたしてはどうでございましょう。さっそく、わたくしから....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
げたにすぎなかった。 そこで、島を離れ、ミンダナオ島に向うことになったが、その夕べ、悪夢は再び繞り来った。今度は、生々しい現実の恐怖を味わねばならなかったので....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
鴦髷」東京三越展出品「春の粧」大阪美術倶楽部記念展出品「土用干」東京三越展出品「夕べ」五葉会展第一回出品「春苑」東京高島屋展出品 同 十一年 「春宵」春虹会展....
虹と感興」より 著者:上村松園
へ、その背景に虹を用いたわけです。 一双の図組の中に出ている気分は、初夏のある夕べの雨上り、湿った空気の中に、軽い涼しさがさわやかに流れておるという点を出した....
四十年前」より 著者:内田魯庵
は猫も杓子も有頂天になって、場末のカフェでさえが蓄音機のフォックストロットで夏の夕べを踊り抜き、ダンスの心得のないものは文化人らしくなかった。 が、四十年前の....
涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
がやかに彩られていた。そしてひと音きかぬ静けさが、その下に落ちていた。おおらかな夕べのこの安息のうちに山々は自分たちをとりまいて立っていた。自分たちはこれからこ....
皇帝の使者」より 著者:カフカフランツ
きないし、まして死者のたよりをたずさえてかけ抜けることはできない。――だが君は、夕べが訪れると、君の窓辺に坐り、心のなかでそのたよりを夢想するのだ。....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
見わけがたい。島人の住まいはかえってのどかなおもむきがあり、朝には潮風に吹かれ、夕べには雲にかこまれるのである。) 午前八時出港。イルカ、群れをなして波間に飛....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
見えざりしかばよめる 萩の花くれぐれまでもありつるが月いでて見るになきがはかなき夕べのこころをよめる たそがれにもの思ひをればわが宿の荻の葉そよぎ秋風ぞふく わ....
太陽とかわず」より 著者:小川未明
見まわしました。 それからというものは、かわずは、朝は太陽の上るとともに起き、夕べは、太陽の沈むときまで、ともに水の中をはねまわって、なにやらわからぬことを口....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
の幾つかの感情が描かれている。(一八〇八年) * 東は朝。――西は夕べ。――南は真昼。――北は真夜中。(一八一三年) * 現在のよう....