»
夕暮
「夕暮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夕暮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
はや》る心を静めて、じっと寺の外に立っていた。その間に時は用捨なく移って、やがて
夕暮の色と共に、棗の実を食《は》み落す鴉《からす》の声が、寂しく空に響くようにな....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
あんまり人間の種類が違いすぎるからさ。』三浦はしばらくの間《あいだ》黙って、もう
夕暮の光が漂《ただよ》っている大川の水面をじっと眺めていましたが、やがて『どうだ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
今では寸分《すんぶん》の刺戟《しげき》さえない、平凡な往来に過ぎないのであった。
夕暮が近くなった時、川幅が狭くなると共に、両岸には蘆《あし》が稀《まれ》になって....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
一対の烏羽揚羽なのです。その時は気のせいか、額へ羽搏った蝶の形が、冷やかに澄んだ
夕暮の空気を、烏ほどの大きさに切抜いたかと思いましたが、ぎょっとして思わず足を止....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
置かん。
年月《ねんげつ》のほどは、さる可き用もなければ云わず。とある年の秋の
夕暮、われ独り南蛮寺の境内《けいだい》なる花木《はなき》の茂みを歩みつつ、同じく....
「路上」より 著者:芥川竜之介
。しばらく。」と、優しい声をかけた。
二十三
ほとんど常に
夕暮の様な店の奥の乏しい光も、まっ赤な土耳其帽《トルコぼう》を頂いた藤沢《ふじさ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
『自分の居る世界はモー異っている……。』と言った、微かな自覚があるのです。四辺は
夕暮の色につつまれた、いかにも森閑とした、丁度山寺にでも臥て居るような感じでござ....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。大八車《だいはちぐるま》が続けさまに田舎《いなか》に向いて帰って行く小石川の
夕暮れの中を、葉子は傘《かさ》を杖《つえ》にしながら思いにふけって歩いて行った。....
「或る女」より 著者:有島武郎
がずに桜の並み木の下などを徘徊《はいかい》して待っていた。さすがに十一月となると
夕暮れを催した空は見る見る薄寒くなって風さえ吹き出している。一日の行楽に遊び疲れ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
あるものはさびしい掛け声をなお海の上に響かせて、忙しく配縄を上げているのもある。
夕暮れに海上に点々と浮かんだ小船を見渡すのは悲しいものだ。そこには人間の生活がそ....
「星座」より 著者:有島武郎
鐘に慣れたその耳にも、演武場の鐘の音は美しいものだった。
ことに冬、真昼間でも
夕暮れのように天地が暗らみわたって、吹きまく吹雪のほかには何の物音もしないような....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
調子づいてだんだん高められて、果ては何処《どこ》からともなくそわそわと物音のする
夕暮れの町の空気が、この癇高《かんだか》な叫び声で埋められてしまうほどになった。....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
、おくれがちで、いつものようにはとべません。するうち、いやなお天気になって来て、
夕暮もせまって来ました。エリーザはしずみかけているお日さまをながめて、まだ海のな....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
から楽しまず、さながら荒れ果てた墓地に根をおろしているサイプレスの木が、寥寂たる
夕暮れにその頂きを徒らに天へとどかせようとしているかのように、その後半生を陰鬱の....
「橋」より 著者:池谷信三郎
黄昏が街の灯火に光りを添えながら、露路の末まで浸みて行った。 雪解けの日の
夕暮。――都会は靄の底に沈み、高い建物の輪郭が空の中に消えたころ、上層の窓にとも....