外向[語句情報] »
外向
「外向〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
外向の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
《はず》だ」養父はねちねちした調子で、そんな事まで言出した。
お島はつんと顔を
外向《そむ》けたが、涙がほろほろと頬へ流れた。
「旧《もと》を忘れるくらいな人間....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
叱《しか》るように言いました。もう奥様は其処へいらしって、燈火《あかり》に御顔を
外向《そむ》けて立っておいでなさるのです。 「お定の御父さんですか」 「否《いい....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
《わし》をこんなに打《ぶち》なすったのですかい」 「あたりめえよ」 お隅は顔を
外向《そむ》けて、嗚咽《すすりあげ》ました。一旦|愈《なお》りかかった胸の傷口が....
「未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
んなにとがっているだろう。それから前脚なんか、こんなに掌《て》が大きくて、しかも
外向《そとむ》きについているだろう。つまり、鼻と前脚とで、やわらかい土を掘るのに....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
、牛はいま、何とかして生きようと最善を尽してるのだ。その努力が、また私をして面を
外向けしめる。ふだんから牛の眼はどこを見てるのか解らないもんだ。この必死の土壇場....
「子を奪う」より 著者:豊島与志雄
ろ宥めすかしてみた。依子は遂に泣き止んだが、此度は執拗に黙り込んだ。くるりと顔を
外向《そむ》けて反り返った。彼は腹が立ってきた。其処に依子を放り出して縁側に出て....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
廻った。彼は薄暗い通りを選んで歩いた。人に出逢うと、何かを恐れるもののように顔を
外向けた。古道具屋などの店先に、古い刃物類があるのを見ると、一寸立止ったが、また....
「小説中の女」より 著者:豊島与志雄
が私の方をじろじろと、明らさまに而も偸み見の体で眺めるので、私は窓の方にまた顔を
外向けて、眼をつぶった。みさ子の立像がはっきり頭の中に出来上っていた。大理石に刻....
「電車停留場」より 著者:豊島与志雄
肩を小突いた上に、降りろとは何だ。少しは人間らしい口を利け。」 木原藤次は顔を
外向けて、痩我慢の苦笑を洩らした。相手にとって悪い男だと思ったのである。そしてま....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
その上俊子は、私の一身からひどい嫌悪と圧迫とを感じてるらしかった。絶えず私に顔を
外向けて背を向けようとしたし、私の前を避けようとしていた。夜中に私がふと不安な心....
「道連」より 著者:豊島与志雄
角に腰掛けていた。ぼーっとした提灯の火を側にして、月の光を斜め半身に受けて、顔を
外向けているその様子が、もうずっと前から其処に坐り通してるような風だった。僕は何....
「霧の中」より 著者:豊島与志雄
したら、なお逃げちまうよ。」 「逃げやしないよ。初めから人間だと分っていれば、案
外向うは平気なんだ。それを、四つん匐いなんかになってるんで、飛びついてみて、びっ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
た。
綱手は、深雪に助けられて、旅支度をしていた。二人とも、灯がつくと涙の顔を
外向《そむ》けた。八郎太は、二人の娘の顔をちらっと見たが、平素のように、何を泣く....
「聴衆0の講演会」より 著者:中井正一
かけなかった。いつでも帰りは夜十一時四十分の復員列車であった。満員の車の扉の外に
外向きに両手でつかまって、尾道市まで、深夜の闇の中をゴーゴーと帰って来るとき、自....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
社会党か、日本社会民主党かでもめたことである。結局国内的には日本社会党でゆき、国
外向けには日本社会民主党ということに落ちついた。 結党当時、私は戦前同様組織部....