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「多事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

多事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
来ならば主人にも何かの咎めもある筈ですが、もともと悪気でした事でも無し、殊に幕末多事の際で、幕府も譜代の旗本を大事にする折柄ですから、馬を取り返されただけのこと....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
、二人三人組をなして耕すもの幾組、麦冊をきるもの菜種に肥を注ぐもの、田園ようやく多事の時である。近き畑の桃の花、垣根の端の梨の花、昨夜の風に散ったものか、苗代の....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
、市中に潜入している。それは、単なる噂ではない。事実である。そして工場は内外共に多事だった。 いつの間にか、外塀や、電柱に、伝単がベタベタ貼りさがされていた。....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
らねばならない。 続行裁判、証人の訊問、鑑定人の答申等のうちに、支倉の一身上に多事なりし大正六年は遂に終ったのだった。 明けて大正七年一月十九日に第六回の公....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
なっても、まだそのうわさは絶えなかった。 旧暦十一月の四日は冬至の翌日である。多事な一年も、どうやら滞りなく定例の恵比須講を過ぎて、村では冬至を祝うまでにこぎ....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
いうことになります。そしてお互いに奴らの芸術は何だといい合います。狐の世界もまた多事であります。 これらも皆真似ることの興味がいろいろと変化して、ヤヤコシクな....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
いうことになります。そしてお互いに奴らの芸術は何だといい合います。狐の世界もまた多事であります。 これらも皆真似ることの興味がいろいろと変化して、ヤヤコシクな....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
しい暇をぬすんで、自分の好きな魚釣りに出て来た。そこを自分に認められた。この軍国多事の際に、軍人が悠長らしく釣竿などを持ち出しているところを、人に見つけられては....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
。それは金龍が私の一生に残してくれたミヤゲであった。 金龍と私との十年の歳月は多事多難であったが、又、夢のようにも、すぎ去った。私は多情多恨であり、思い屈し、....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
とだい」 「とにかく、人間というものは人の噂をしたがるものですよ。他人の身の上は多事多端ですな。そして当人だけは、事もなく、わが身に限って何一つ面白いことが起ら....
火薬庫」より 著者:岡本綺堂
しい暇をぬすんで、自分の好きな魚釣りに出て来た。そこを自分に認められた。この軍国多事の際に、軍人が悠長らしく釣竿などを持出しているところを、人に見つけられては工....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
汰を堪忍して下さい。私は今心の力を集めるために祈り求めています。私は心身の内外に多事になりました。考えねばならぬことがいくらも切迫し、それがまた一つも考えがまと....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
を尋問し、病客あるときはその病を問い、不幸あるときはその不幸を弔する等、いたって多事なり。 米国にて僧侶たるものは、多少尊敬を受くるの風あり、田舎に至りて最も....
西航日録」より 著者:井上円了
国の前途、絶望の観なきあたわず。ああ中原の鹿、またなにびとの手にか帰せん。東洋の多事、今よりますますはなはだしからん。ただ、わが同胞は鞠躬尽瘁よく、唇ほろびて歯....
俗臭」より 著者:織田作之助
の腐れ縁が続けられたのかも知れぬ。 千恵造の出奔を切っ掛けとして、児子家は以後多事多端であった。 その一つ。権右衛門が統制違反で拘引された。沈没汽船引揚、及....