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「多弁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

多弁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
こころ」より 著者:夏目漱石
極《きわ》めて少なかったのです。性質からいうと、Kは私よりも無口な男でした。私も多弁な方ではなかったのです。しかし私は歩きながら、できるだけ話を彼に仕掛《しか》....
坑夫」より 著者:夏目漱石
んと御前さんを使わなくなった。赤毛布はさっき一膳飯屋の前で談判をした時から、余り多弁ではなかったが、どう云うものかここに至ってますます無口となっちまった。小僧の....
道草」より 著者:夏目漱石
慮しないでもいいやね。姉弟《きょうだい》の間じゃないか、御前さん」 姉は自分の多弁が相手の口を塞《ふさ》いでいるのだという明白な事実には毫《ごう》も気が付いて....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
顧《かえり》みる。「今君の留守中に君の逸話を残らず聞いてしまったぜ」「女はとかく多弁でいかん、人間もこの猫くらい沈黙を守るといいがな」と主人は吾輩の頭を撫《な》....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
、朝の森に小禽が囁るような楽しさで話すのだったが、一々|応け答えもできないような多弁の噴霧を浴びせかけて、彼を辟易させることがあるかと思うと、北の国の憂鬱な潮の....
画室の言葉」より 著者:藤島武二
プリのある批評家になってこそ初めて、絵を見る力が具わるのである。どれ程巧みに何程多弁に批評が語られていても、エスプリを見得ない批評はむしろ無用の長物である。 ....
伊太利亜の古陶」より 著者:宮本百合子
るとね。ハハハ」 高畠子爵は、思い出しても愉快そうに笑いながら、彼として稀しい多弁で話しつづけた。 「あの心持は今考えてもおかしい。出さきだから持ち合わせはす....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
よってきわめていきいきと表現しようというのが俳諧の使命である。ホーマーやダンテの多弁では到底描くことのできない真実を、つば元まできり込んで、西瓜を切るごとく、大....
天馬」より 著者:金史良
えたことを思うともう凡ての悲しみも苦しみも霧散し、ひとりでに嬉しくなっていよいよ多弁になっていた。殊に傍には角井もおり、今まで筆を取る度に威張り散らした手前もあ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
の洩れっこはねえ。なア若えの、ゆっくり朝まで斬りあうぞ」 泰軒が一喝した。 「多弁無用! 参れッ!」 と……。 これが誘引した乱刃|跳舞《ちょうぶ》。 ....
女大学評論」より 著者:福沢諭吉
弁舌の能力を枯らして、実用に差支《さしつかえ》を生ずるに至る可し。我輩とても敢て多弁を好むに非ざれども、唯|徒《いたずら》に婦人の口を噤《きん》して能事《のうじ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
銷沈の姿であり、何事についてもほとんど発言しなくなっていた。飯島好造は相変わらず多弁で、とかく話題を政治に向けがちだったが、その興味の中心は後継内閣の顔ぶれとい....
辻久一著「夜の芸術」」より 著者:岸田国士
者は、その言わんとするところを言いはじめたに過ぎぬ。しばらく耳を傾けて、いささか多弁ながら的を外さぬ主張を、最後まで聴く必要があろう。....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
の顧問官殿もなあ 今では全く静肅、秘密を洩らしもせねば、生真目でも御座る。 生前多弁な愚か者ではあったが ささ、お前の仕末もつけてやろうかのう。 お寝みなされ、....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
生縄お鉄も感動せずにはいられなかった。人間の至誠が完全に表現されるのは、必ずしも多弁を要しないので有った。 「そんな事なら何も私にだんまりで、裏から逃げ出さなく....