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多感
「多感〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多感の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
主権者などもそのころから猜疑《さいぎ》の目を見張って少女国を監視し出した。葉子の
多感な心は、自分でも知らない革命的ともいうべき衝動のためにあてもなく揺《ゆる》ぎ....
「若杉裁判長」より 著者:菊池寛
高等学校時代、即ち今から十数年前では、明らかに行われていたことに相違ありません。
多感《センシティブ》な青年であった若杉さんが、これを見て極度に憤慨したのも、無理....
「世相」より 著者:織田作之助
年五月であったが、丁度その頃私はカフェ美人座の照井静子という女に、二十四歳の年少
多感の胸を焦がしていた。 美人座は戎橋の北東詰を宗右衛門町へ折れた掛りにあり、....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
熊手のような手で怪しげな歌など作って、新手村の百姓娘に贈ってたまげさせていた年少
多感の悪趣味はまず我慢出来るとしても、口をひらけば駄洒落か七五調、すまじきものは....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
朋友の信義は言の葉に述べ難きものなり。」とて、その当時の光景を叙してある。円朝が
多感の人であったことは、これで察せられる。 あくる三日は宇都宮を立って、日光街....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
ことのできない不良中学生が小学校の代用教員になるというのは変な話だが、然し、少年
多感の頃は又それなりに夢と抱負はあって、第一、その頃の方が今の私よりも大人であっ....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
せている灯は、やがて道頓堀川のゆるやかな流れにうつっているのを見ると、私の人一倍
多感な胸は躍るのでしたが、しかし、そんな風景を見せてくれた玉子を、あのいつかの夜....
「紫大納言」より 著者:坂口安吾
わけて飛び交うばかりであった。 恋のほかには余分の思案というものもない平安京の
多感な郎子であったけれども、佳人のもとへ通う夜道の危なさには、粋一念の心掛けも、....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
宇野浩二は聡明の人である。同時に又
多感の人である。尤も本来の喜劇的精神は人を欺くことがあるかも知れない。が、己を欺....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
える妓の愛想よく酒を勧むる暇さえ、「招かれざる客」の歎きをする久米、――そう云う
多感多情の久米の愛すべきことは誰でも云う。が、私は殊に、如何なる悲しみをもおのず....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
、この家に一カ月程身を置くことが出来た。 十七から十八の秋までの、春期の催しの
多感の日を私は思うさま尾道の港街でおくった。 その一年は私の生涯に一枚はさまっ....
「荘子」より 著者:岡本かの子
た。しかし、六尺豊な体躯を持っている赫顔白髪の老翁の太古の風貌を帯べる考えと多情
多感な詩人肌の彼の考えと到底一致する筈がない。結局荘子は先哲のどの道にも就かず、....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
した。 五月十日、船は印度洋に入った。世界に著き澎湃たる怒濤が死ぬに死なれない
多感の詩人の熱悶苦吟に和して悲壮なる死のマーチを奏する間に、あたかも夕陽に反映え....
「近頃感じたこと」より 著者:小川未明
に付せられるか。そこに真実の批評なく、また与論なきがためです。たゞ、正純にして、
多感的なる、人生の少年時代を温床となせる児童文学は、どの点より見ても、小型大衆小....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
を明かす多くの人の中には、懐いを此岩屋に泊ったことのある前人の身の上に馳せて、其
多感なる心と電流の如く交通するなつかしい夢の跡を偲ぼうとする者がないとも限るまい....