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多望
「多望〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多望の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
いでは置かなかった。ことに葉子の母が前から木部を知っていて、非常に有為《ゆうい》
多望な青年だとほめそやしたり、公衆の前で自分の子とも弟ともつかぬ態度で木部をもて....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
ば数十年の後にはかの地に数百万エーカーの緑林を見るにいたるのでありましょう。実に
多望と謂《いい》つべしであります。
しかし植林の効果は単に木材の収穫に止《とど....
「門」より 著者:夏目漱石
、安之助がすでに手の中《うち》に握ったかのごとき口気《こうき》であった。かつその
多望な安之助の未来のなかには、同じく
多望な自分の影が、含まれているように、眼を輝....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
介ばかりが出来たに過ぎない。それも、今月中の喰い物の一つになってしまうのだ。最も
多望であった脚本創作のことなどは、ほとんど全く手がつかなかったと言ってもいい。 ....
「文壇の趨勢」より 著者:夏目漱石
る短篇ものよりも、ずっと程度の高いものと自分は信じている。だから日本の文壇は前途
多望、大いに楽観すべき現象に充《み》ちていると思います。 そこで今云った通り新....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
活に革命を生ずるとはいうものの、その革命は、生木を裂くようなものではなく、極めて
多望満々たる好転である。すべてにとって、天来の福音であって、且つ、実行をして些《....
「芽生」より 著者:宮本百合子
えた。ことに雑誌なんかの上で大人が一二度小才のきいた文章が出してあるとすぐ「前途
多望の天才」とかなんとか云う尊称がたてまつられる。そんな人にかぎってその投書の一....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
一首別なわけ方で何行かに書くことにするんだね。 B そうすると歌の前途はなかなか
多望なことになるなあ。 A 人は歌の形は小さくて不便だというが、おれは小さいから....
「猿の図」より 著者:三好十郎
も、はや! ハッハハ、こういう憲兵もいるからなあ! 薄田 ハッハハ、皇国の前途、
多望と言うべし! いや、冗談じゃないんだぞ、これから、われわれは、こうでなくちゃ....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
て総見物あり。 ○五月八日、初代市川女寅死す、二十八歳。容貌技芸共にすぐれ、前途
多望と称せられたる女形なり。 ○七月十六日、東京府民有志の発企にて、来朝中の米国....
「それから」より 著者:夏目漱石
に往来している時分から怠けものだ。あの時は強いて景気をつけていたから、君には有為
多望の様に見えたんだろう。そりゃ今だって、日本の社会が精神的、徳義的、身体的に、....