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多血質
「多血質〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多血質の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ら、木谷が囁いた。 「一人で意気まいたって駄目だからと、止めたんだがね、あいつ、
多血質だから、きかないんだ。」 「今度は、なかなか労働組合や、俺等の反対に敏感に....
「戦雲を駆る女怪」より 著者:牧逸馬
ぎだから、メリコフも黙っていられない。車掌の言い草もかなり横暴なので、スラヴ族は
多血質だ。むかっとして、頼まれもしないのに、女の助太刀《すけだち》に飛び出して行....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
事時間前の前菜にはなおさらである。 三番目「仇討輪廻《あだうちりんね》」では、
多血質、胆汁質《たんじゅうしつ》、神経質とでも言うか、とにかく性格のちがう三人兄....
「バルザックに対する評価」より 著者:宮本百合子
ックが姿を見せる。それからとうとう芸術家のバルザックが出て来たかと思うと、それは
多血質の、乱暴な、病的な男で、さまざまの観念が、盛り沢山な、凝りすぎた、埒外れな....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
えるはずはなかった。ガマーシュもまた食卓の勇者で、無作法で田舎者《いなかもの》で
多血質であって、丈夫でない人々を、食うことも飲むこともできない人々を、パリーのい....
「桜の園」より 著者:神西清
て持って出る。客間にピーシチクとトロフィーモフ登場。 ピーシチク わたしはどうも
多血質でね、もう二度も卒中にやられているもんで、踊りはどだい無理なんだが、下世話....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
っていた。 年のころは、六十を幾つか越えていて、牡牛のような、がっしりと肥えた
多血質の身体をしていた。おまけに、台詞以外には吃る癖もあり、かつは永らくの阿片吸....
「岷山の隠士」より 著者:国枝史郎
して感のいい人間ではなかった。 体質から云えば貧血性であったが、気質から云えば
多血質であった。 いつも不平ばかり洩らしていた。 だが意外にも義理堅く、他人....
「日記」より 著者:宮本百合子
とすると、先から云われて居る、日本とフランスの国民性の類似は何処にあるのだろう。
多血質な処――mob の共通か 或は同じように曲線的な模様を好む点からか、――....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
「権右衛門、来たか。これへ。」 取次ぎの家来にむかって、師冬は頤で指図した。
多血質の養父とは違って、彼は痩形の色の蒼白い眼のするどい、見るからに神経質らしい....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
肩を有せる枯痩《こそう》の人物と、形《かたち》崩《くず》るるばかり肥満し過ぎたる
多血質の人物との解剖を見るべく、またかの筍掘《たけのこほ》りが力一杯に筍を引抜く....
「性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
はその大きな、艶透な目の光を感じると同時に、いくらか肉肥りした姿のよい鼻と脣と、
多血質な美しい皮膚とを射るように視線のなかに感じた。それらの喜ばしい艶やかな雑作....