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多難
「多難〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
多難の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
「いかがで厶ります。およろしくば?」 「騒ぐまい。行けい」 「でも――」 「国政
多難の昨今、廟堂に立つものにその位の敵あるは当り前じゃ。行けい」 秋霜烈日とし....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
朝廷においてお取り扱いになるは元よりの御事である、今や御親政の初めにあたり、非常
多難の時に際会し、深く恐懼と思慮とを加え、天下の公論をもつて奏聞に及び、今般の事....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の御代になっての斯十余年は、私共に、諸君に、日本に、はた世界にとって、極めて多事
多難な十余年でありました。
大正元年暮の二十九日、雪の黄昏を眺めた私の心のやる....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
よろしいくらいでありまして、宋朝が金に圧迫せられて南渡の悲運におちいるという国家
多難の際にあって、皆それぞれに忠奮の意気をあらわしているのは、まったく尊敬に値い....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
。 治明博士の講演は「ヨーロッパに於ける心霊研究の近況」というので、博士が身を
多難《たなん》にさらして、各地をめぐり、心霊学者や行者《ぎょうじゃ》に会い、親し....
「大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
な時刻になったか。今、例の火星世界の偵察報告を夢中になってよんでいたが、中々前途
多難じゃね」 司令のめがねは、火星世界の偵察報告の開かれたページの上におかれた....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
することが出来るわけだ。まして拉致された日本人が無事に帰って来たと聞いて、満州の
多難にあまり神経を嵩ぶらすに及ばないではないかと、考えが多少は楽観的にもなるので....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
、最も強烈に、そのエネルギーを放射。戦闘的性質を有し、目的に対して積極的なれど、
多難な運命である。その上、人生の終局に於いて、複雑な交叉点に、信号を無視して立脚....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
、それまでにこの魔の海を脱れ出るがよい。運命の風よ。強く吹け」口々に叫びながら、
多難な前途を案じ顔だった。 幸いに、風が強く、僕等をのせた怪しげな風船は、幽霊....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
を多くして努力を少なくせんとする同一の道徳が支配していた。かかる不道徳な道徳が、
多難な政治を導いてゆく唯一の糸であった。そこでは、首領らが無政府の実例を示してい....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
れは金龍が私の一生に残してくれたミヤゲであった。 金龍と私との十年の歳月は多事
多難であったが、又、夢のようにも、すぎ去った。私は多情多恨であり、思い屈し、千々....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
関係が有りうることになるだけなのである。 私はしかし御両氏の関係は、かなり前途
多難だと考えている。 その第一は、天光光氏は理知性が低い。自分を客観的に眺める....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
る。 しかし、青木は怒らなかった。むしろ記代子をあわれと思った。その墓碑銘に「
多難なる生涯を終りたる娘」と書くに価する悲しい人生を経てきた娘が数多くいるはずの....
「思い」より 著者:伊丹万作
ろそろ手を引く事業家が出てくるかもしれぬが、もしそんなことがあつても、このような
多難な時期に映画を見捨てる人に対して、五十万円だの百万円だのという退職手当は出さ....
「熱情の人」より 著者:久保栄
びなかったとしても、これらの左翼理論家の痛罵を浴びながら、なおかつ、隠忍自重して
多難な新劇劇場の経営に努力し、他日の大成に資すべき幾本かの貴重な杙を打って行かれ....