夜の衣[語句情報] »
夜の衣
「夜の衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜の衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戦争のファンタジイ」より 著者:吉行エイスケ
た。 流行品店とキャバレーのあるアスファルトの露地に、黒いケープレットのついた
夜の衣裳をつけて、ハイ・ヒールのエナメルの靴を穿《は》いた都会の売笑婦。 「――....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
夜というものは一体に、沈静と、回顧とを本色とするものですから、普通平凡な景色も、
夜の衣をかけて見ると、少なくも一世紀の昔へ返して見ることができるものですから、ま....
「源氏物語」より 著者:紫式部
とも多く書かれてあった。 浦人の塩|汲《く》む袖《そで》にくらべ見よ波路隔つる
夜の衣を という夫人から、使いに託してよこした夜着や衣服類に洗練された趣味の....
「源氏物語」より 著者:紫式部
たから、すぐに返歌が書かれた、非常に楽々と、 かへさんと言ふにつけても片しきの
夜の衣を思ひこそやれ ごもっともです。 という手紙であったらしい。....
「悲しめる心」より 著者:宮本百合子
かろう 送ってあげたや紅の地に 金糸の花を縫い取って 真綿を厚く
夜の衣《きぬ》 それにそえては虹のよな 糸でかがった小手毬を―― 日....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
とびついてしまう。 私は朝目がさめて久須美を送りだすまでの衣裳と、昼の衣裳と、
夜の衣裳と、外出しなくとも、いつも衣裳をかえなければ生きた気持になれなかった。う....
「松井須磨子」より 著者:長谷川時雨
ないか、私は彼女に、第一の晴着《はれぎ》が着せたかった。思出のがあるならば婚礼の
夜の衣裳といったようなものを、そしてあるかぎりの花で彼女の柩《ひつぎ》のすきまは....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
を漲らせます。(間)夕暮の神の白い素足が後園の階段へ下りて来る時、殿堂の姫君達は
夜の衣をひきまといて、密かに寝所を遁れ出で、湖水の面に漂っている、ゴンドラへ乗り....
「銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
大通にたたずめば、ここが首府の中央かと疑わるるばかりに、一種荒凉の感を覚うれど、
夜の衣の次第にうすくかつ剥げて、曙の光の東より開くと共に、万物皆生きて動き出ずる....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
わず襟を縮めながら、充血した眼に大空を仰ぐと、東は漸く明るくなったが、北の山々は
夜の衣をまだ脱がぬと見えて、頽れかかった砲塁のような黒雲が堆く拡がっていた。 ....