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「夜半〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夜半の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
尾生の信」より 著者:芥川竜之介
来ない。…… ―――――――――――――――――――――――――夜半、月の光が一川《いっせん》の蘆と柳とに溢《あふ》れた時、川の水と微風とは静に....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、いない筈の男が眠っていた。迫った額《ひたい》、長い睫毛《まつげ》、――すべてが夜半《やはん》のランプの光に、寸分《すんぶん》も以前と変らなかった。左の眼尻《め....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
の姉だった平吉の前《ぜん》の家内が死んだあとを、十四、五の、まだ鳥も宿らぬ花が、夜半《よわ》の嵐に散らされた。はじめ孫とも見えたのが、やがて娘らしく、妹らしく、....
弓町より」より 著者:石川啄木
うなことを考えて、あの森川町の下宿屋の一室で、友人の剃刀《かみそり》を持ってきて夜半ひそかに幾度となく胸にあててみた……ような日が二月も三月も続いた。 そうし....
クララの出家」より 著者:有島武郎
ように。 弾条のきしむ音と共に時計が鳴り出した。クララは数を数えないでも丁度|夜半である事を知っていた。そして涙を拭いもあえず、静かに床からすべり出た。打合せ....
海異記」より 著者:泉鏡花
に驚きて、児と添臥の夢を破り、門引きあけて隈なき月に虫の音の集くにつけ、夫恋しき夜半の頃、寝衣に露を置く事あり。もみじのような手を胸に、弥生の花も見ずに過ぎ、若....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
のように思出しましたから、それを捜せば、きっと誰か知っているだろう、と気の着いた夜半には、むっくりと起きて、嬉しさに雀躍をしたんですが、貴僧、その中の一人は、ま....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
さらりと、肩で分けた。よしこことても武蔵野の草に花咲く名所とて、廂の霜も薄化粧、夜半の凄さも狐火に溶けて、情の露となりやせん。 「若い衆、」 「らっしゃい!」 ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
たせまして、その家の、棟の瓦を睨ませて、動くことさえさせませなんだ。 十六夜の夜半でござった。師匠の御新造の思召とて、師匠の娘御が、ソッと忍んで、蕎麦、蕎麦か....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
に一度どっと大降りになって、それが留むと、陽気もぽっと、近頃での春らしかったが、夜半に寂然と何の音もなくなると、うっすりと月が朧に映すように、大路、小路、露地や....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ために憂目見たまいしならばいかにせむ。それか、あらぬかとのみ思い悩みつつ、われは夜半の道を行くなりき。 小親と同一楽屋に居て、その顔見つつありては、われ余りに....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
を夢に見て、山へ百合の花折りに飄然として出かけられたかも料られぬを、狭島の夫人、夜半より、その行方が分らぬなどと、騒ぐまいぞ、各自。心して内分にお捜し申せと、独....
もみの木」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
、パチ、パチいいながら、森のなかの、夏のまひるのことや、星がかがやいている、冬の夜半のことをおもっていました。またクリスマスの前の晩のことや、たったひとつきいて....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
されているが、その亡霊は夜な夜なもとの戦場に馬を駆り、頭をさがすのである。亡霊が夜半の疾風のように速くこの窪地を通り去るのは、刻限におくれたために、大いそぎで夜....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
これ困窮の余に出でたことで、他に何等の煩悶があってでもない。この煩悶の裡に「鐘声夜半録」は成った。稿の成ると共に直ちにこれを東京に郵送して先生の校閲を願ったが、....