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「夜深〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夜深の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
の辺が四ッ谷町でござりますが」 「そうか、おれも実は二度ばかり来た家だがな、こう夜深に暗くては、一寸も判らん。なんでも板塀の高い家で、岡村という瓦斯燈が門先きに....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
ゆう》としてただ前途のみを志すを得《う》るなりけり。 その靴《くつ》は霜のいと夜深きに、空谷を鳴らして遠く跫音《きょうおん》を送りつつ、行く行く一番町の曲がり....
深夜の市長」より 著者:海野十三
てきた。動坂三郎は苦がりきって総監の行動を注視していた。 「満堂の諸君。市長は昨夜深更、遂に自殺を遂げました――」 人々は思わず呀ッと叫び声を立てた。 「高屋....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
時間があるよ。遠い凸凹道だから、三時間は充分かかる。ね、ヨットを見せて貰おう。昨夜深谷氏が乗ったと云うその問題のヨットだ。……僕はなんだか、ひどくこの事件に興味....
地獄の使者」より 著者:海野十三
」 「何にもございません。全くわたくしの知らないことでございますから……」 「昨夜深更にこのピストルで主人を射殺しそれからこれをあなたの部屋の花瓶の中に隠した。....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、手を当てる、とべとりとして粘る。嗅いでみると、いや、貴僧、悪甘い匂と言ったら。夜深しに汗ばんで、蒸々して、咽喉の乾いた処へ、その匂い。血腥いより堪りかねて、縁....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
がちらちらと空に舞った。お京の姿は、傘もたわわに降り積り、浅黄で描いた手弱女の朧夜深き風情である。 「あら、月村さん。」 紅入ゆうぜんの裳も蹴開くばかり、包ま....
死者の書」より 著者:折口信夫
薄々は帳台の中で夜を久しく起きている、郎女の様子を感じ出して居た。でも、なぜそう夜深く溜め息ついたり、うなされたりするか、知る筈のない昔かたぎの女たちである。 ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
える木の葉の中より走り出でて、颯と橋杭を潜り抜け、来し方の市のあたり、ごうごうと夜深き瀬の音ぞ聞えたる。 わが心は決らで、とこうしてその橋の袂まで来りたり。つ....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
頼ひに舅姑の晩節を存するあり 欣然|寡を守つて生涯を送る 犬田小文吾夜深うして劫を行ふ彼何の情ぞ 黒闇々中刀に声あり 圏套姦婦の計を逃れ難し 拘囚未....
誓之巻」より 著者:泉鏡花
」 「ミリヤアド。」 目はあきらかにひらかれたり。また一しきり、また一しきり、夜深くなりゆく凩の風。 神よ、めぐませたまえ、憐みたまえ、亡き母上。 明治三十(一八九七)年一月....
迷信解」より 著者:井上円了
の出来事が誤り認められて狐狸談となることが多い。その一例は羽前の庄内の町にて、毎夜深更になると狸の腹鼓の音がするとて、騒ぎ立てしことがあるに、よくよくただしてみ....
寛政時代の娘納涼風俗」より 著者:上村松園
着きがなくて如何にも軽くなりますので、ああして俯向きがちの所を描きましたが、余り夜深になりますと反って凄うなりますから、宵の口で月蝕というものを題にして夏の夕方....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
る装飾を施せり。夜半後、一時過ぎまでにぎわえり。南米航の無事を祝するためなり。当夜深更に至り、半輪の月を望むに、わが日本にて望むとはその形を異にし、月球の左半面....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
それによると伯爵夫人は一週間ほど前から箱根のふじやホテルに滞在中であったが、一昨夜深更に帰宅して、玄関を上るや人事不省に陥り、そのまま息を引き取ったというのだ。....