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夜船
「夜船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜船の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
してのみ込んだ。
こうして葉子に取って運命的な一日は過ぎた。
一八
その
夜船はビクトリヤに着いた。倉庫の立ちならんだ長い桟橋に“Car to the T....
「富士」より 著者:岡本かの子
の中にすでに半歳以上は過ぎた。訣れは憤りと呪いを置土産にいで立ったものの、渡海の
夜船の雨泊中に娘の家の庭から拾って来た福慈岳の火山弾を取出してみて、それが涙痕の....
「船医の立場」より 著者:菊池寛
な運命に服従した。彼らのつつましい悪怯《わるび》れない態度を見たワトソンは、その
夜船室の寝台で、終夜眠れなかった。 四 不幸な日本青年につ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
霜は答えた。「御承知でもございましょうが、川越から江戸へ出ますには、新河岸川から
夜船に乗ります。その船のなかで懇意になったのだそうでございます」 お磯の身売り....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
傷も冴えやかなわが早乙女主水之介は、うしろの柱によりかかって、いとも安らかに白河
夜船です。まことに、これこそ剣禅一味の妙境に違いない。剣に秀で、胆に秀でた達人で....
「獏鸚」より 著者:海野十三
く彼を誘いだしに小石川のアパートへ行った。 彼の仕事の性質から云って、正に白河
夜船か或いは春眠暁を覚えずぐらいのところだろうと思っていったが、ドアを叩くが早い....
「蛍」より 著者:織田作之助
ついぞない強い眼でじっと坂本を見つめた。 けれども、お良と坂本を乗せた三十石の
夜船が京橋をはなれて、とまの灯が蘆の落かげを縫うて下るのを見送った時の登勢は、灯....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
に負けたせいでなくもともと酒乱で、酔うときッとこうなるという話であった。私は白河
夜船でその騒ぎを知らなかった。 翌朝、私が目をさまして、一人、新川の店へ散歩に....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
ん、おいでかな?」 「離れの方に……まだ眠んで……ホホホ」とお松は笑う。 「白河
夜船か。ちと困ったな」 「すぐ起こして参ります」 「少し訊きたいこともあり、少し....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
斯うした噂は至る処に立っていた。 とは知らぬ磯貝竜次郎、武者修行に出て利根の
夜船に乗った時に、江戸帰りのお鉄と一緒で有った。年齢は既に四十近く、姥桜も散り過....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
いるのは、斧、琴、菊を中形に染めた、朝顔の秋のあわれ花も白地の浴衣である。 昨
夜船で助けた際、菊枝は袷の上へこの浴衣を着て、その上に、菊五郎格子の件の帯上を結....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
の死の真因は、原因と目さるべきもの何にもなく、前記船頭の言葉から推して、十八日の
夜船頭を帰した後の、月明を楽しみつつ無人の孤島の寂寥のうち、芸術家|気質の繊弱な....
「西航日録」より 著者:井上円了
し、ここに滞泊す。その夜中の実景は詩中にて見るべし。 風寒人影少、唯見電灯連、終
夜船来去、汽声破客眠。 (風は寒く、人影もまれに、ただ電灯の連なっているのを見る....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
十七日、晴れ。暑気にわかに加わり、盛夏のごとし。東風船を送ること連日に同じ。 日
夜船窓望。 (日
夜船窓から布哇を望めば、海と空との連なるところに浪は果てしなく、....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
笑うばかりでした。その時始めて、弟と私との間の大きな隔りを知り、情けない思いに一
夜船を見ながら泣き明しました。 半年後、帰朝の途にあった一行は、再びシンガポー....