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夜長
「夜長〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夜長の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
そりした部屋の中では、燈心の油を吸う音が、蟋蟀《こおろぎ》の声とともに、むなしく
夜長の寂しさを語っている。
始め筆を下《おろ》した時、彼の頭の中には、かすかな....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
の傍《かたわら》、ひたすら諸々《もろもろ》の仏神に甚太夫の快方を祈願した。病人も
夜長の枕元に薬を煮《に》る煙を嗅《か》ぎながら、多年の本望を遂げるまでは、どうか....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
と、こうあなたはおっしゃるのですか? なるほどそれもごもっともです。ではちょうど
夜長を幸い、わたしがはるばる鬼界《きかい》が島《しま》へ、俊寛様を御尋ね申した、....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
今度はなんといって口説き伏せようかと、彼は疲れ切った神経をいよいよ尖らせて、秋の
夜長をもだえ明かした。あかつきの鶏の啼く頃から彼は又もや熱がたかくなった。 「そ....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
の若い人が妙に感心していた。 「河内瓢箪山稲荷辻占」恋の判断を小さな紙に記して、
夜長の伽に売りあるく生業、これも都にフッツリ影を留めずなって、名物かりん糖の中に....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
掛にて開化の若い方には珍らしく此兀爺の話を冒頭から潰さずに御聞なさるが快ければ、
夜長の折柄お辰の物語を御馳走に饒舌りましょう、残念なは去年ならばもう少し面白くあ....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
りと掻いたのであった。最早別荘は空屋になって居る。雨は次第に強くふって来る。秋の
夜長の闇が、この辺を掩うてしまう。別荘の周囲が何となく何時もより広いような心持が....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
感じないで生活出来た。目前にやって来る冬支度や、命日の食べ物のやりくりやらで秋の
夜長はどんどん過ぎて行った。戦後日がたつにつれ、私は考えるようになって来た。自分....
「夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
オレの親方はヒダ随一の名人とうたわれたタクミであったが、
夜長の長者に招かれたのは、老病で死期の近づいた時だった。親方は身代りにオレをスイ....
「桜の森の満開の下」より 著者:坂口安吾
前は山男だからそれでいいのだろうさ。私の喉は通らないよ。こんな淋しい山奥で、夜の
夜長にきくものと云えば梟の声ばかり、せめて食べる物でも都に劣らぬおいしい物が食べ....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
屋にて、島に一年|蟄居の話、穴に一年難儀の話、積る話に実が入りまして、思わず秋の
夜長を語り明しました。 文「もう夜が明けたの」 町「おや、もう夜が明けたので....
「桜の園」より 著者:神西清
な本を読みましょうね。……そうじゃなくて? (母の両手にキスする)ふたりで、秋の
夜長に読みましょうね。どっさり読みましょうね。するとわたしたちの前に、新しい、す....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
れて雨しきり 伝説の沼に淋しき蛙かな 偉いなと子供歌うや夏の月 新聞の広告も読む
夜長かな
夜長さや二伸も書いて又一句 外国に雁見て思う故郷かな 雁落ちてあそこの....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
おれの色じゃねえか。おたがい大あつあつだった頃にや、仲よく遊び※りもしたし、秋の
夜長をしんみり語り明かしたこともあるじゃねえか。お前さんの身うちの誰かれを、お寺....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
そこに、その榎の下に、いつも秋早くから焼栗の定見世の出ることが、虧けそめた月の、
夜長夜寒のおもいを一層ふかからしめた。――「仲見世」というところはときにそうした....