夜雨[語句情報] » 夜雨

「夜雨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夜雨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、野草のあいだには石馬や石羊の横たわっているのが見いだされる。 伝えていう、月夜雨夜にここを過ぎると、凄麗の宮女に逢うことがある。宮女は笛を吹いている。その笛....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
た形跡は、些細なものも現われていないのである。してみると、靴跡が印されたのは、昨夜雨が降り止んだ十一時半以後に相違ない。しかも、その二様の靴跡について、前後を証....
観画談」より 著者:幸田露伴
もうなかなか渓の方から流れる水の流れ勢が分明にこたえる。空気も大層冷たくなって、夜雨の威がひしひしと身に浸みる。足は恐ろしく冷い。足の裏は痛い。胴ぶるいが出て来....
旅日記から」より 著者:寺田寅彦
で何かつぶやいた、それは Grob ! と言ったように思われた。 四月六日 昨夜雨が降ったと見えて甲板がぬれている。いかめしくとがった岩山が見える。ホンコンと....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
十一 霜らしい霜は、例年明治天皇の天長節、十一月三日頃に来る。手を浄めに前夜雨戸をあくれば、鍼先を吹っかくる様な水気が面を撲って、遽てゝもぐり込む蒲団の中....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
に、雨は、漸くしとしとと多きを加えようとも、降りやむ気色《けしき》はありません。夜雨の軒をめぐる音を聞くと、弁信法師の心がまた、いとど潤《うるお》うてきました。....
女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
された。行き倒れか、服毒自殺者か、それは分らないが、もう半ば腐爛しかけていて、前夜雨が降り、ずぶ濡れになっていた。その死体に、沢蟹がいっぱいたかっていた。 「ほ....
白銀の失踪」より 著者:ドイルアーサー・コナン
は彼に莫大な利益をもたらします。彼には厩番のハンタに薬を盛った嫌疑があります。同夜雨が降り出してから屋外にいたことも争われぬ事実です。兇器としては太いステッキを....
夜光虫」より 著者:織田作之助
状態のまま、一種、根こぎにされた人となって、ぼんやり日を送ったところだろうが、深夜雨の四ツ辻で、裸の娘を拾ったという偶然は、次々に偶然を呼んで、まるで欠伸をする....
秋深き」より 著者:織田作之助
吸わねばならぬのかと思うと、痩せた胸のあたりがなんとなく心細い。たまらなかった。夜雨戸を閉めるのはいずれ女中の役目だろう故、まえもってその旨女中にいいつけて置け....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
の叔母と姪を失いぬ。仏氏のいわゆる生者必滅の道理、今更おどろくは愚痴に似たれど、夜雨孤灯の下、飜って半生|幾多の不幸を数え来れば、おのずから心細くうら寂しく、世....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
、日は已に高く昇ったらしい。 幾ら気が張っていても、疲労には勝たれぬ。市郎は昨夜雨中を駈廻った上に、終夜殆ど安眠しなかった。加之も今朝は朝飯も食わなかった。疲....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
雪について、なんびとも自彊の心をいだかざるを得ないであろう。) 十一、摩世闌夜雨(南米) 千湾万曲繞。 (十一、摩世闌の夜雨(南米) 多くの湾がそれぞれ曲線....
夕立」より 著者:永井荷風
人口に膾炙するもの東坡《とうば》が望湖楼酔書を始め唐《とう》韓※《かんあく》が夏夜雨《かやのあめ》、清《しん》呉錫麒《ごしゃくき》が澄懐園消夏襍詩《ちょうかいゑ....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
の家は、佐太郎の弟妹がみんな小学校に行つているので留守番もないはずだつた。 昨夜雨があつたのか、シツトリと湿つている家の前庭を、三毛猫が音もなく横切つて行つた....