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夢うつつ
「夢うつつ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夢うつつの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
るい一面があるとすれば、それは唯何も知らない幼年時代の記憶だけだった。彼は度たび
夢うつつの間に彼の両親の住んでいた信州の或山峡の村を、――殊に石を置いた板葺《い....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
するために合掌していた。それは「妙々車」という草双紙の中の插画だったらしい。この
夢うつつの中の景色だけはいまだにはっきりと覚えている。正気になった時のことは覚え....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
わたしを蔑んだまま、「殺せ。」と一言《ひとこと》云ったのです。わたしはほとんど、
夢うつつの内に、夫の縹《はなだ》の水干の胸へ、ずぶりと小刀《さすが》を刺し通しま....
「故郷」より 著者:井上紅梅
手製の偶像ではなかろうか。ただ彼の希望は遠くの方でぼんやりしているだけの相違だ。
夢うつつの中に眼の前に野広い海辺の緑の沙地が展開して来た。上には深藍色の大空に掛....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
とも眠れなかった。三味の音が浪の音に聴えたり、浪の音が三味の音に聴えたり、まるで
夢うつつのうちに神経が冴えて来て、胸苦しくもあったし、また何物かがあたまの心をこ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
た。 杉田二等水兵は、何分の間か、それとも何十分にもなるか、とにかく相当の時間
夢うつつの状態の中をさまようた後、ふと気がついた。 「うーん」 彼はうなりなが....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
へ下りようとはしなかった。地下室の中でも、彼は、遠方から地響の伝わってくる爆撃も
夢うつつに、傍から羨ましがられるほど、ぐうぐうと鼾をかいて睡った。 三日間の休....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
頃に何処からか電話がかかって来て、家政婦のそめ子が留守を頼んで出て行ったが、何分
夢うつつでボンヤリ寝過してしまい申訳もありませんと答えた。 このように女中の証....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
らまし呑み込めて来た。 重なる異変に気も心もすっかり転倒しつくした安吉の妻は、
夢うつつで後さきもなく、夫の断末魔の有様を述べて行ったが、述べ進むにつれて少しず....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
生れそうな力を孕んだ楽しい気分が充ちて来た。 復一の何ものにも捉われない心は、
夢うつつに考え始めた――希臘の神話に出て来る半神半人の生ものなぞというものは、あ....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
舞った。 一時間半は過ぎた。何かに自分を根こそぎ持って行かれるような気持ちを、
夢うつつの間に覚え、はっとして彼が半身を起すと、もうイベットは彼の傍には居無かっ....
「海亀」より 著者:岡本綺堂
で、舟と共に沈もうと決心して……。これも一種の心中だと思って……。それからさきは
夢うつつで……。」 「そうすると、結局は舟が沈んで……。君だけが助かって、妹は死....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
さきとの腫れあがった胸と脾腹が火傷をしたように痛んで苦しんだ。それから三日ほどを
夢うつつに暮らしているうちに、幸いにも熱もだんだんに下がって来て、からだの痛みも....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
地がない。僕が起きあがった時にはたしかに眼をあけていたのである。また、たとい僕が
夢うつつであったとしても、こんなに忌というほどたたきつけられて眼を醒まさないとい....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
一人で家を出て清水の方へ足を運んだ。それまでは確かに覚えているが、それから先きは
夢うつつで何処《どこ》をどう歩いたのか、どうしてこの森の奥へ迷い込んだのか、どう....