夢の跡[語句情報] » 夢の跡

「夢の跡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夢の跡の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
竇氏」より 著者:田中貢太郎
であった。 南は喚びさまされてやっと正気づいた。南は起きあがりながら見のこした夢の跡を追うように前を見た。其処には廷章の女の冷やかな死体が横たわっていた。南は....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
笠打敷て時のうつるまで泪《なみだ》を落し侍《はべ》りぬ。 夏草やつはものどもが夢の跡」 これは、やはりこの土地の形勢によってうつされた文章でないことはわか....
源氏物語」より 著者:紫式部
心得をお教えになるのであったが、その方を可憐にばかりお思われになった。昔の鴛鴦の夢の跡の仏の御座になっている帳台が御簾越しにながめられるのも院を物悲しくおさせす....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
。東京駅で電車に乗るまで彼女は、私に対してあれほど和やかな心持を示して、何か遠い夢の跡をでも追ってるようなぼんやりさで、私に信頼し私に凡てを打任せていたのである....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
て来たのだから、豈目的を達せずんばあるべからずと、鉄条網を乗り越えて、王仁三郎の夢の跡へ踏みこんだ。頂上に立つと、亀岡の町と、丹波の山々にかこまれた小さな平野が....
平泉紀行」より 著者:村山俊太郎
こがれをまどろむ人もあるだろう。 さみだれの降り残してや光堂 夏草やつはもの共が夢の跡 ああそうだ待っている。まっている。夢の文化が待っている。緑につつまれた....
車中有感」より 著者:上村松園
のそれがし戦死のところ、とか、東軍西軍の激戦地とかの文字を読んで、つわものどもの夢の跡を偲んだりするのは無限の愉しみである。 汽車に乗ると、すぐ窓辺にもたれて....
食堂」より 著者:島崎藤村
取りそろえてあったあの店はもう無い。三代もかかって築きあげた一家の繁昌もまことに夢の跡のようであった。その時はお三輪も胸が迫って来て、二度とこんな焼跡なぞを訪ね....
九月四日」より 著者:岡本綺堂
うと予想してはいたものの、よくも思い切って荒れ果てたものである。夏草や兵者どもの夢の跡――わたしも芭蕉翁を気取って、しばらく黯然たらざるを得なかった。まことに月....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
した。更に溯れば藤原一門の文化が栄えた所で、有名な平泉の「金色堂」は、その栄華の夢の跡を語ります。もっと古を訪ねれば多くの蝦夷がいた土地でありましょうが、それら....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
、辺りを、名知らぬ小鳥の影がひらめいていた。おなじ芭蕉の句――夏草やつはもの共が夢の跡――と共につよく心に沁む句である。現代世界人の戦争にたいする呪いとおののき....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
泊ったことのある前人の身の上に馳せて、其多感なる心と電流の如く交通するなつかしい夢の跡を偲ぼうとする者がないとも限るまい、其時こそ恐らく河原の砂や小石の一つひと....