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「夢心地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夢心地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
、涙とともにささやかれる孤※の耳うちのように震えた細い言葉を、ただ「はいはい」と夢心地にうなずいてのみ込んだ甘い場面は、今の葉子とは違った人のようだった。そうか....
或る女」より 著者:有島武郎
えがいつかは下り坂になる時があるのだろうか」 そんな事を葉子は幸福に浸りきった夢心地の中に考えた。 葉子が東京に着いてから一週間目に、宿の女将《おかみ》の周....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
退《ど》かなかった。電燈の消えた薄暗い中で、白いものに包まれたお前たちの母上は、夢心地に呻《うめ》き苦しんだ。私は一人の学生と一人の女中とに手伝われながら、火を....
朱日記」より 著者:泉鏡花
早鐘を撞くような音が聞えて、吃驚して目が覚める、と寝汗でぐっちょり、それも半分は夢心地さ。 明方からこの風さな。」 「正寅の刻からでござりました、海嘯のように....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
ま手を引き、燕のように身をひるがえして戸の内へ消えてしまった。省作はしばらくただ夢心地であったが、はっと心づいて見ると、一時もここにいるのが恐ろしく感じて早々家....
去年」より 著者:伊藤左千夫
もにわかに消えたような心地になってしまった。例のごとく楊枝を使って頭を洗うたのも夢心地であった。 門前に立ってみると、北東風がうす寒く、すぐにも降ってきそうな....
空中墳墓」より 著者:海野十三
。 四十階急行のエレベーターが昇って来たのだった。 「誰か来たナ」 まだ半ば夢心地の中に、そう感じた。職業意識のあさましさよ、か。 この四五日というものは....
地獄の使者」より 著者:海野十三
ぶん早くから私の室の戸の外まで来てそれを知らせたそうですが、実のところ私はそれを夢心地に聞いていまして――昨夜は呑みすぎましてな――本当にはっきりとそのことを知....
怪塔王」より 著者:海野十三
なりました。 帆村探偵がこれを知ったら、おどりかかっていくでしょうに、彼はまだ夢心地で床の上にたおれています。 「う、ふふふふ」と怪塔王はあざ笑い、「すぐ殺し....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
た。 フランクは、脱獄囚のために虐殺されるかと思ったのに、うまく命びろいして、夢心地といったところであった。 が、しばらくして、はっとわれにかえり、 「あ、....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
した不思議な鳥のように映った―― 剃刀をもぎ取られて後は、茫然として、ほとんど夢心地である。 「まあ! 可かった。」 と、身を捻じて、肩を抱きつつ、社の方を....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
感じられたのは、唐櫃の上に、一個八角時計の、仰向けに乗っていた事であった。立花は夢心地にも、何等か意味ありげに見て取ったので、つかつかと靴を近けて差覗いたが、も....
浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
錦絵の上で賞玩すべきものだと私は思います。 ○ 錦絵のもつあの艶美な夢心地のような韻致――と申しますか、匂いと言いますか、人の魂に滲みこんでくるあの....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
た、青い光明は、半輪の月である。 枯葎を手探りで、墓から迷って出たように、なお夢心地で、潜門を――何となく気咎めがして――密と出ると、覚えた路はただ一筋、穴の....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
うつろな目でながめていた。 『貞やん、はよゆこか……』 和助さんにうながされ、夢心地の私はふろ敷包みをだいて、てくてくとあとに従ったが『あれが三井銀行や、ここ....