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大事ない
「大事ない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大事ないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
まの日よりだいぶ前に過ぎ越している。翁は苦笑しながら直ちにも雲を変じ巌に化しても
大事ないとは思った。しかし人間に居し人情を湛えた生涯を尽す最後の思い出にはどうか....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
さまに習うたけれど、わたしも不器用な生まれで、ようは詠まれぬ。はて、詠まれいでも
大事ない。歌など詠んで面白そうに暮らすのは、上臈《じょうろう》や公家《くげ》殿上....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
思った。 しかし、藩主忠尚侯は、彼が意気込んで言上するのを聞いた後、「あれか、
大事ない。余の器を出しておけ」と何気なくいわれた。 彼は余りに苛だたしい時には....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
朱の盤 吉祥天女、御功徳でござる。(肱を張って叩頭す。) 亀姫 ああ、姥、お前も
大事ない、ここに居てお相伴をしや。――お姉様に、私から我儘をしますから。 夫人 ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
騎士 槍は鞘に納めますまい、このまま御門を堅めまするわ。 公子 さまでにせずとも
大事ない、休め。 騎士等、礼拝して退場。侍女一、登場。 侍女一 御安心遊ばしまし....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
二 「否、山さえお暴しなさいませねば、誰方がおいでなさいましても、
大事ないそうでございます。薬の草もあります上は、毒な草もないことはございません。....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
私の行くのは剣ヶ峰だよ。 一同 剣ヶ峰へ、とおっしゃりますると? 白雪 聞かずと
大事ないものを――千蛇ヶ池とは知れた事――このおふみの許へさ。(と巻戻し懐中に納....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
結へ附けて、車の輪に障らぬまでに、横づけに縛りました。 賃銭の外じゃ、落しても
大事ない。さらば急いで帰らっしゃれ。しゃんしゃんと手を拍いて、賭博に勝ったものも....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ぞ。」 「あんなに仰有って下さるもの。さあ、どんな事するのや知らんが、まずうても
大事ない、
大事ない、それ、支度は入らぬかい。」 「あい、」 とわずかに身を起す....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
。――袂にあったら、粗相して落すとならん。憂慮なやろさかい、私がこうするよって、
大事ないえ。」 と袖の中にて手を引けば、内懐の乳のあたり、浪打つように膨らみた....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
さんにあやまったものを。邪慳じゃあないかね。可よ、旦那が何といっても、叱られても
大事ないよ。私ゃすぐ引毀して、結直して見せようわね。」 お貞は顔の色|尋常なら....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
いはもう我が家。ここの小松の間を選んで、今日あつらえた地蔵菩薩を―― 仏様でも
大事ない、氏神にして祭礼を、と銑さんに話しながら見て過ぎると、それなりに川が曲っ....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
それでは「忘れまいぞやあのことを」でも大事ございませぬか』 蓮如『そなたに限って
大事ない。安心して唱えやれ』 おくみ『やれ有難や忝けなや。此の上はどんな辛い奉公....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
も居やはらんとこ大好きどす。」すかし幌の裡から、白木蓮のような横顔なのです。 「
大事ないどすやろえ、お縁の……裏の処には、蜜柑の皮やら、南京豆の袋やら、掃き寄せ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
吐かぬじゃ。大したことはねえての、気さえ確になれば整然と治る。それからの、ここは
大事ない処じゃ、婆も猫も犬も居らぬ、私一人じゃから安心をさっしゃい。またどんな仔....