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大患
「大患〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大患の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
返り出した。
「何が嘘じゃ? この村のものにも聞いて見るが好《よ》い。己は去年の
大患《おおわずら》いから腰ぬけになってしもうたのじゃ。じゃが、――」
浄観はち....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
二十日余り経つと、種吉のところへ柳吉の手紙が来た。自分ももう四十三歳だ、一度|
大患《たいかん》に罹《かか》った身ではそう永くも生きられまい。娘の愛にも惹《ひ》....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
月頃すでに自分の小説を紙上に連載すべきはずだったのである。ところが余り暑い盛りに
大患後の身体《からだ》をぶっ通《とお》しに使うのはどんなものだろうという親切な心....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
わ》めて平凡なものであった。それも自覚していた。生涯《しょうがい》に一度か二度の
大患に相応するほどの深さも厚さもない経験を、恥《はじ》とも思わず無邪気に重ねつつ....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
けて、塾に取っては種々な不慮の出来事があった。広岡学士は荒町裏の家で三月あまりも
大患《おおわずら》いをした。誰が見ても助かるまいと言った学士が危く一命を取留めた....
「黴」より 著者:徳田秋声
おけないような場合がたびたびあった。 次に引き移って行った家では、その夏子供が
大患いをした。 前にいた家の近所に、お銀がふとその家を見つけて来て、そこへ多勢....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
は取りも直さず天特にわれ千々岩安彦のために復讎の機会を与うるもの、病は伝染致命の
大患、武男は多く家にあらず、姑※の間に軽々一片の言を放ち、一指を動かさずして破裂....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
估価を超越して直接に人を動かすのではないかと思う。そしてそれは死生の境に出入する
大患と、なんらかの点において非凡な人間との偶然な結合によってのみ始めて生じうる文....
「夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
週日にもおしかけて行ってお邪魔をした。 自分の洋行の留守中に先生は修善寺であの
大患にかかられ、死生の間を彷徨されたのであったが、そのときに小宮君からよこしてく....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
少の斡旋奔走せらるる際は、別して補佐の責任も重かったため、病気を押した結果、遂に
大患にもなったのであるから、世子その他の人々もこの事については頗る心配されて、療....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
にしみて知っている。先ず花柳病にかかって潜水するとテキメンにやられる。殆ど即死の
大患にやられるのである。次に大酒がよろしくない。酒色を慎しむことが潜水夫の第一課....
「夏目先生の俳句と漢詩」より 著者:寺田寅彦
稀薄な俳句において比較的自然な心持が反映しているのであろう。例えば修善寺における
大患以前の句と以後の句との間に存する大きな距離が特別に目立つ、それだけでも覗って....
「東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
な面だましいを日頃もっていた神田八段であったが、こんどの名人位挑戦試合では、折柄
大患後の衰弱はげしく、紙のように蒼白な顔色で、薬瓶を携えて盤にのぞむといった状態....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
、その赤ン坊を宅へ連れ帰り、種々の事情からそのまま預り育てていると云うので、夫が
大患に罹った為め、妻たるその婦人が私の事務所を訪ねて、秘密裡に母親を尋ね出す事を....
「南画を描く話」より 著者:中谷宇吉郎
てこの絵が出て来たから君にあげると書いてあった。大正八年といえば、丁度先生があの
大患でずっと休まれる直前のことであって、胃の工合がもう大分良くなかった頃である。....