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大気
「大気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
けていた。小暗い杉の下かげには落葉をたく煙がほの白く上って、しっとりと湿った森の
大気は木精のささやきも聞えそうな言いがたいしずけさを漂せた。そのもの静かな森の路....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
炉の中へ、新に焚き木を加えながら、
「あの――御名前は何とおっしゃいますか。私は
大気都姫《おおけつひめ》と申しますが。」と云った。
「おれは素戔嗚だ。」
彼が....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
ただけである。人をのろうのかもしれない。静かな、恐れをはらんだ絶嶺《ぜつれい》の
大気を貫いて思わずもきいた雷鳥の声は、なんとなくあるシンボルでもあるような気がした。
(明治四十四年ごろ)....
「生きている腸」より 著者:海野十三
ガラス管のそばに顔をよせた。 ガラス管の中の腸《はらわた》は、今や常温常湿度の
大気中で、ぐにゃりぐにゃりと活撥な蠕動をつづけていた。 医学生吹矢隆二は彼の考....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ことになる。すなわち、この通路の長さの方向はちょうど天の極に向かう。しかも極は、
大気による光線の屈折のためにわずかばかり実際よりも地平線に対して浮上って見えるか....
「海底大陸」より 著者:海野十三
にとびちった。メリー号をつつんでいた外殻がとれたのだ。巨船は三カ月ぶりで、やっと
大気の中につかったのであった。 そよ風吹くしずかな海上であった。 いま、巨船....
「春昼」より 著者:泉鏡花
梅の青葉から、湯気の中へ糸を引くのが、月影に光って見える、蜘蛛が下りた、) と
大気※じゃ。 (万歳々々、今夜お忍か。) (勿論、) と答えて、頭のあたりをざ....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
ギンネコ号の人々にあいさつをした。 そこは三重の扉を通りぬけたあとの、ふつうの
大気圧の部屋であったから、ギンネコ号の人たちはふつうのかっこうをしていた。かれら....
「宇宙の迷子」より 著者:海野十三
五千メートルだって……。すると成層圏のまん中あたりの高度だ……。そのあたりなら、
大気がうすくて、水蒸気もないし、ごみもないから、太陽の光線が乱反射しない。それで....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
。 酒は一樽|打抜いたで、ちっとも惜気はござりませぬ。海からでも湧出すように、
大気になって、もう一つやらっせえ、丁だ、それ、心祝いに飲ますべい、代は要らぬ。 ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、きみは、ちっともその方に引っかかりはないのでしたね。」 「ええ、私は風来ものの
大気紛れさ、といううちにも、そうそう。」 中腰の膝へ、両肱をついた、頬杖で。 ....
「科学者と夜店商人」より 著者:海野十三
気が圧縮せられて浮体自身の浮力が減少し、沈降を始めるわけだが、これは開放されたる
大気中に在るのだから、そんなに気圧が変動する筈はない。それに鵜烏は浮かんでいるか....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ホローの若衆と呼ばれていた。眠気をさそう夢のような力がこのあたりをおおっており、
大気の中にさえ立ちこめているようだった。移住のはじまったころ、ドイツのある偉い祈....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
郎達は残らず綺麗になりましたぜ、お庇様を持ちまして、女の子は撫切だと、呵々と笑う
大気焔。 もっとも小僧の時から庄司が店で叩込んで、腕は利く、手は早し、それで仕....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
て、船の動揺を覚えず。 呂宋海上向。 (呂宋の海上を南東に向かい、ほのおのような
大気を送って赤道の風が吹く。ひるさがりにわが皇国の遠いことを改めて思う。太陽はす....