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「大潮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

大潮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幻談」より 著者:幸田露伴
、これもやったけれども、どうしても釣れない。それがまた釣れるべきはずの、月のない大潮《おおしお》の日。どうしても釣れないから、吉もとうとうへたばって終《しま》っ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
も商売になりませんや。ははははは」 よく訊いてみると、きのうは旧暦の三月三日で大潮にあたるというので、老人は近所の人たちに誘われて、ひさしぶりで品川へ潮干狩に....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
いだ。 水の濁りはだいぶとれたが、まだ草の葉や材木の片が泡に混って流れている。大潮の日を選んであるので、流れは人数のわずかな遠泳隊をついつい引き潮の勢いに乗せ....
謀叛論(草稿)」より 著者:徳冨蘆花
代を想像して御覧なさい。実にたまったものではないではないか。幸に世界を流るる一の大潮流は、暫く鎖した日本の水門を乗り越え潜り脱けて滔々と我日本に流れ入って、維新....
惜別」より 著者:太宰治
には、わが国の文人墨客たちの騒ぐ名所が、一つとしていいと思われないのです。銭塘の大潮は、さすがに少し興奮しますが、あとは、だめです。僕は、あの人たちを信用してい....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
の絶えないので船夫の腮も干あがらぬのである。 汐干狩 三月桃の節句に入っての大潮を見て、大伝馬、小伝馬、荷たりも出れば屋根船も出で、江戸ッ児の汐干狩は賑やか....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ため」という声を聞けば一生懸命になるんだ。耳を澄ませば滔々として寄せ来る唯物論の大潮の遠鳴りが聞こえる。われらは、pure experience と Vorst....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、その雪白の花が、一羽、翡翠を銜えた。いや、お京の口元に含んだ浅黄の団扇が一枚。大潮を真南に上げ颯と吹く風とともに、その団扇がハッと落ちて、宙に涼しい昼の月影の....
日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
に八月四日大風洪水、三に閏八月二十八日又大洪水、四に十二月十六日夜地震、同夜半に大潮入つて、南向の国は尽く破損す、西北向の国は地震計りと言ふ、当所(崎浜)には五....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
あった。そして多数の者は、心の底では頑固に保守的であって、この町のように、近代の大潮流からやや遠ざかって、古代の評判を誇りとしてる小都市では、ことにそうであった....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
なった。すなわち、人を害しないということだった。彼の役割は済んでしまった。人類の大潮を湧《わ》きたたせる力は、単に行動を解放するための一つの道具として彼を使った....
故郷」より 著者:井上紅梅
瓜は水菓子屋の店に売っているものとばかし思っていた。 「わたしどもの沙地の中には大潮の来る前に、たくさん跳ね魚が集って来て、ただそれだけが跳ね廻っています。青蛙....
村芝居」より 著者:井上紅梅
そうだ。この十幾人の子供は実際一人だって、鴨の仲間でない者はない。その上二三人は大潮を乗切った者さえある。 外祖母も母親もようやく安心して今はもう何とも言わず....
地上」より 著者:島田清次郎
郎は今より彼に開かれる新しい生活と新しい人間に祈りを籠めた。量り知られぬ人間力の大潮、大いなる都会は未来を蔵してどう/\と永遠の騒音を響かしている。車窓からは高....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
とを合せ有している。此山上に取り残されて小さな自分をそこに見出した時、人は坐ろに大潮のうねりの如くに強く抵抗し難い威圧と、必然的に起って来る頼りない淋しい気分と....