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「大鍋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

大鍋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
親子」より 著者:有島武郎
中には、床も置かないで、ならべた板の上に蓆を敷き、どの家にも、まさかりかぼちゃが大鍋に煮られて、それが三度三度の糧になっているような生活が、開墾当時のまま続けら....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
湧出す水で、真赤な血を洗いながら、 「嫁さん、嫁さん。」 「はい。」 と二竈の大鍋の下を焚つけていた、姉さんかぶりの結綿の花嫁が返事をすると、 「その大皿と、....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
え返り沸騰している。 洋上の空気が益々膨張するから前にも記した如く怒風を起こし、大鍋から立ち騰る蒸発気が直ちに雲となって米国の天に広がったのだ。 六十九 怒風の....
性に関するアイヌの習俗」より 著者:河野広道
病神たちが往来する時は、いつもそうだった様に、今夜も特別眠れないのである。娘よ、大鍋に水を入れて掛けてくれ!』と云うと、少女は言下に起って、大鍋いっぱいに水を入....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
いたりしている中に、河原が均され天幕が張られて、めらめらと勢よく燃え上る火の上で大鍋が沸々音を立てる時分には、冷え切った体にも温い血が循り始めた。 一しきり華....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
食堂も、ここで兼ねるのである。早速、焚火にかかって、徒渉に濡れた脚絆を乾すやら、大鍋を吊して湯を沸かしたりする。 広河内の土地のありさまは、中央日本アルプスの....
えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
海に疲れ,船に疲れたときには,悪いものだ」 そこで魔物の妻は,六つの耳のついた大鍋に水を入れ,火にかけた.そして古い人肉を大片に切って煮た. 俺はそのとき窓....
すっぽん」より 著者:佐藤垢石
大すっぽんを私の家へ持ってきて、すっぽん汁をこしらえ、これを炉の自在鍵に吊るした大鍋から、十数人の村人が五郎八茶碗に掬って、おいしそうに啜った。そして、雲助のよ....
老狸伝」より 著者:佐藤垢石
つけ、その日は一日、樹の又へ縛りつけて置いて、その夜工事場の人員全部が集まって、大鍋でたぬき汁をこしらえ、濁り酒で腹鼓をうった。 こんな次第で、文明開化の今日....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
飯が始まった。細君は別に鶏と茄子の露、南瓜の煮付を馳走振に勧めてくれた。いずれも大鍋にウンとあった。私達は各自手盛でやった。学生は握飯、パンなぞを取出す。体操の....
藁草履」より 著者:島崎藤村
んでいる客がある。二階には兵士の客もある様子。炉に懸けた泥鰌汁《どじょうじる》の大鍋《おおなべ》からは盛に湯気が起《た》ちまして、そこに胡座《あぐら》をかいた源....
次郎物語」より 著者:下村湖人
なまぐさい匂いがむっと鼻をついた。 森閑としてどこにも人気がない。蠅が一しきり大鍋の上にまい立ったが、またすぐ静かになった。 「ごめん!」 俊亮が、奥の方に....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
して、 「いやよ、見に来ちゃあ。」 お国風の懐石料理をいくらか心得ていた姉は、大鍋にうんと拵えた三平汁を見ると、持前の鋭い目をぎろつかせたものだったが、そうし....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
が、既に寝ている者を起して、雑炊会を始める。それは賄《まかない》を呼起して残飯を大鍋へ叩き込んで、それへ葱大根などを切交えて、それを啜り合うのである。酒は欲しい....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
この浦田君の家では障子を張りかえ、畳を買い入れ、たいも、かまぼこもどっさり求め、大鍋を庭にすえ、景気よく芋など煮て、花嫁の来着を待っているだろう。 障子のあい....