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「天工〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天工の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇遇」より 著者:芥川竜之介
《しょう》に寄せては、翠柏《すいはく》の屏《へい》が結んである。その下にあるのは天工のように、石を積んだ築山《つきやま》である。築山の草はことごとく金糸線綉※《....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
巨大な洞窟に過ぎない。すなわち、富士の底の岩根を数里に渡って刳り抜いたところの、天工自然の洞窟なのである。 それにしても広大なこの洞窟を、月夜よりも明るく黄昏....
惜別」より 著者:太宰治
しき※然として美人の顔を粧う。ちはやぶる神の昔、大山つみのなせるわざにや。造化の天工、いずれの人か筆を揮い詞を尽さん、云々。」の絶景も、甚だ落ちつかぬ心地で眺め....
備忘録」より 著者:寺田寅彦
。方向も速度も急激に変化する。稲妻でもすればさらにおもしろい。いかなる花火もこの天工のものには及ばない。 来そうな夕立がいつまでも来ない。十二時も過ぎて床には....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
は彼らが自然児だからで、人工の屋根で雨露をしのぎ、あたたかい蒲団にくるまるより、天工自然の空の下で、湿気と草の香に包まれながら地上で眠る方が健康にもよかった。で....
高原」より 著者:寺田寅彦
で覗いてみた。まるで翡翠か青玉で彫刻した連珠形の玉鉾とでも云ったような実に美しい天工の妙に驚嘆した。たった二十倍の尺度の相違で何十年来毎日見馴れた世界がこんなに....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
ちっともわからない」 「君は浮き岩をどう思うね」日出夫少年は真面目に云った。 「天工と思うかね? 人工と思うかね?」 「それはもちろん天工だろう」 「ところが、....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
というように聞える。鶴見は両三遍唱え言を繰り返してから、遽かに勢づいていった。「天工を奪うとはこの事だ」と。 鶴見の輪廻観は要するにこの流転世界に対応する心像....
旧藩情」より 著者:福沢諭吉
うぼう》、日月《じつげつ》星辰の運転に定則あるを知るべし。地皮の層々、幾千万年の天工に成りて、その物質の位置に順序の紊《みだ》れざるを知るべし。歴史を読めば、中....
文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
※然として 美人の顔を粧ふ ちはや振神のむかし 大山すみのなせるわさにや 造化の天工 いつれの人か筆をふるひ詞を盡さむ」 芭蕉はこう記してありますが、これは、....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
生のある一物だも目を遮らぬ。 九十 人間の隻影も、人工の隻影も残ってはいぬ、イヤ天工の隻影さえも無くなったと云うべき程だ。 九十一 東西南の三方は粘泥の大河とな....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
り、低き山稜に出ると、巉岩や偃松で織りなされた美景が正面にくる。南方数十歩には、天工の鉞で削ったような、極めて堅緻の巨岩が、底知れずの深壑から、何百尺だかわから....
西航日録」より 著者:井上円了
・コーズウェーと名づけしは、その怪談にもとづく。余これを訳して、巨人庭石という。天工の巧妙なるに感じて、 天工錬石造奇形、絶妙使吾疑有霊、西俗所伝君勿笑、古来呼....
アラスカの氷河」より 著者:中谷宇吉郎
れ等の氷河の景観は、世人の想像をはるかに絶するもので、自然のふところに秘められた天工の美と、規模の壮大さとを、如実に示すものである。しかしその美に驚嘆することは....